エクストリーム出社関係で北海道旅行をしてきた

エクストリーム出社関係で、あまやんさんと北海道へ行った。
金曜日の朝に羽田から飛行機に乗って、10時に千歳空港。
飛行機が苦手だったはずなのだけど、全然気にならなかった。
天気は小雨が降っていて、少し肌寒いくらいだった。

札幌で予定されていた打合せを終えて、案内をしていただいて、
道民のソウルフードという「みよしの」の餃子を食べ、
北海道神宮をお詣りした。神宮は太い木がぐんぐん生えていて、
パワーが充満していて、すごくよかった。敷地内はお花見が盛んで、
といっても桜はすでにほとんど散ってしまっていたのだけど、
花は関係なく、みんな火を使ってジンギスカンをしていた。
北海道には3日間滞在したけど、毎日どこかしらで、
ジンギスカンをしているグループを目にした。
http://instagram.com/p/nwwY51iwus/
夜、うまいジンギスカンの店へ連れて行ってもらった。
やわらかくて、くさみがなく、大変うまい。
店には小樽ビールという地ビールがあって、
ピルスナー・ドンケル・ヴァイスと全種類飲んだ。
小樽ビールはいずれもあっさりしていて、
ジンギスカンによく合う。激しくうまい。
http://instagram.com/p/n-v6H6Cwoj/
すすきののホテルにあまやんさんと戻って、
あまやんさんは徹夜明けだったらしくすぐに眠ったようで、
ぼくは興奮が冷めずに、ホテルの窓から大きな観覧車が見えるから、
外に出たのだった。時間はまだ22時前だったと思う。
http://instagram.com/p/nxrVAsCwkq/
それにしても、すすきのの歓楽オーラはマジパない。
そして、道路の長さは限りなく、昼夜の寒暖差は超やばい。
札幌の街は屯田兵のおかげか、区画が碁盤の目のようになっていて、
交差点名が北6西3のようにわかりやすくなっている。
のだけど、地元の人でない、ぼくにはわからない。
http://instagram.com/p/n1rcVACwsx/
ツイッターで観覧車が見えるとつぶやいたら、
北海道に縁のある人たちが、それが「ノルベサ」だと教えてくれた。
みんな「ノルベサ」のことは知っているのに、
乗ったことはなさそうだった。それにしてもすごいネーミング。
http://instagram.com/p/nxvUk3iwpk/
http://instagram.com/p/nx5hW3iwn6/
観覧車を下りたところで、おのしゅうさんが、
ツイッターでうまいラーメン屋さんを教えてくれた。
ので、そこへ行ったのだけどラーメン屋は跡形もなかった。
このときぼくは結構酔っていたと思う。
だから見落としただけかもしれない。

北海道は広くて、スケールが狂う。
地図で、この通りの向こう側だから5分くらいかな、
と思って歩き始めたら3キロくらいあったりする。
スーパーマリオでブロックとかカメが大きいステージがあるけど、
ちょうどあんな感じがした。違うかもしれない。
大通公園をうろうろして、ベンチに座ったり、
北海道のサラリーマンたちが賑やかにしているのを眺めて、
適当な居酒屋に入って、ウニとタラで一杯やって、
ホテルに戻ってすぐに寝た。感謝してもしたりないくらい、
本当に楽しい1日だった。
http://instagram.com/p/nxzvGyiwgF/


2日目

あまやんさんが気を遣ってくれて別で観光することに。
といってもぼくは計画がない。観光が下手なのだ。
とりあえず、北海道の広さを昨晩思い知って、
徒歩だと数ブロック移動するだけで日が暮れると思い、
自転車を借りることにした。すすきのから札幌駅近くまで
歩くのも結構な距離だった。レンタサイクルのお店は、
ごく普通のマンションの一室にあって千円で乗り放題。

ホテルのロビーにあった無料の「るるぶFREE札幌」を見て、
「モエレ沼公園」へ行くことにした。以前に写真で見て、
行ってみたいなと思っていたことを思い出した。
で、また目測を誤って自転車を1時間半ほど漕ぐはめになった。
公園の前で少し休憩をした。「ミルクの郷」という観光牧場で、
牛の匂いが漂っていて、のどかで、ソフトクリームがうまかった。
http://instagram.com/p/n-v4CTCwof/
モエレ沼公園は、ちょっとどうかしているほどデカかった。
空が割れて、巨大な手が出てきて何も考えずに、
山とかピラミッドとか森を作ったようなデザインで、
スーパーファミコンの「ポピュラス2」みたいだった。
http://instagram.com/p/nzOHYTCwgo/
シンボル的な山があって、てっぺんを目指したのだけど、
自転車を置いて登って戻ると倍の時間がかかりそうなので、
自転車を押して山に登ったら、倍以上の時間がかかった気がした。
http://instagram.com/p/nzQNPNCwje/
山の上では犬を連れてきている人やカップルや子どもがいて、
自転車で登ってきたぼくを珍しそうに見てきた。
わざわざ頂上まで自転車で来たってことは、
山の急斜面をこいつは自転車で下るんじゃないか、
という視線を四方から受けたのだけど、
もしそれをしたら、本物のエクストリームだ。
ゆっくり手で押して下りた。期待に沿えなくてすみません。
http://instagram.com/p/nzW9ITCwsN/
モエレ沼公園内をぐるっと自転車で回って、
再び1時間ほどかけて札幌市街に戻った。
ナビアプリで移動距離を見たら30kmあった。
横浜から新橋までの距離に相当すると知って愕然とした。
大通り公園のベンチで、パンジーを見つめた。
http://instagram.com/p/nzimGAiwoA/
あとラーメンを食べた。
旅行の荷物を全部入れたリュックが5キロくらいあって、
これがじわじわと疲労を蓄積していることに気づいたのは、
すでに夕方になった頃で、疲れ果てたので、
今晩のホテルにチェックインして、ベッドに横になって、
気付いたら40分ほど寝ていた。家か。

あまやんさんから連絡があり、
夜は合流して、北海道女子たちと飲むことになった。
おすすめのお寿司屋さんと、串鳥というお店へ行った。
どちらもうまかった。お寿司屋さんでは北海道の地酒を飲んだ。
「熊ころり」というすごい名前のお酒がうまかった。
http://instagram.com/p/n0MXgsCwmC/
北海道のお酒が5種類くらいあって、
これも全種類飲んだのだけど、よく考えたら、
というか考えるまでもなく5合で飲み過ぎた。
会はとても楽しくて、ずっと笑いっぱなしだった。
ほんとみなさん、おもしろい、道産子!
ホテルに帰ってくる記憶はあやふやで、
この日はあまやんさんと相部屋で二段ベッドで、
ぼくは自然に上の段に転がり込んで眠った。
あまやんさんが上から落ちてきたらひとたまりもない。

3日目

深く深く眠ったのか、
飲み過ぎて気を失っていたのかわからないけど、
目覚めはすっきりしていて、朝の8時だったと思う。
シャワーを浴びて顔を洗って着替えてホテルを出ることにした。
あまやんさんは、まだぐっすり眠っていた。
http://instagram.com/p/n1rrGciwtM/
これまでの教訓を活かして積極的に電車を使うことにした。
地下鉄の東西線に乗って、二十四軒駅へ行き、
札幌市中央卸市場の場外市場へ行った。

日曜だったので市場はやっていなかったけど、
お店は開いていてカニなどが売られていた。
適当な食堂を見つけて入って海鮮丼を注文すると、
具がたっぷりの丼が出てきて、醤油をかけて、
ガツガツかき込んで、大変満足した。
二日酔いのときの塩分のうまさって神懸かっていますね。
http://instagram.com/p/n1rNAMiwsX/
そのあと地下鉄で大通駅まで行って、
路面電車で中央図書館へ行こうと思ったら、
反対方向に乗って札幌駅に着いてしまった。
これなら地下鉄を下りなくてよかった。
路面電車を待つスペースはおどろくほど狭くて、
そこに立っていると、
間違ったことをしているのではと不安になるほど細い。
あまやんさんだったら、電車がお腹をかすめると思った。

札幌駅に戻って、そういえばあの時計台を見ていなかったと、
時計台まで歩いて見学。それから横の珈琲店で休憩した。
http://instagram.com/p/n1rQ1Diwsc/
駅の南側はだいぶ歩きまわったので、午後は北側へ行くことにして、
北側には何があるかというと北海道大学があった。
その前に、北海道大学近くの
カレー食堂「心」でスープカレーを食べた。
http://instagram.com/p/n1-_35CwsD/
ジャガイモやニンジン、レンコンなど野菜が
ごろごろと入っていてボリュームがすごい。
ほろほろになるまで煮こまれた鶏の大きな脚も、
それらに深く強く浸透しているスープもうまくて、
うめえなあ、と口に出してしまう。
最近、思ったことが自然に口から出る、老化か。


北海道大学は、大学というより、巨大なテーマパークみたいで、
老若男女が思い思いに散歩やサイクリングやジョギングをしたり、
池の畔で桜を眺めたり、子どもが小川で遊んだり、
カップルが仲良く座っていたりして、すごくよかった。
自然が豊富で、歩いているだけで癒やされてくる。
http://instagram.com/p/n2DjiFiwhf/
図書館で1日利用券を出してもらって中に入ると、
とても静かで、ここも老若男女が勉強したりしている。
本の種類はさすがに大学だけあって専門的で豊富で、
なんかもう感無量です。入学したい。
http://instagram.com/p/n-vsFrCwoR/
総合博物館というのもあって、ここがすごかった。
大学の歴史から、動物、恐竜、鉱物など、
貴重なものがたくさん展示されていた。
ぼくが行ったときは、イザベラ・バードという
旅行家であり作家でもある女性に関する展示を開催中で、
この展示がすごくよかった。
イザベラ・バードの紀行文の翻訳をしている
地理学者の金坂清則先生がキャプションなどを書いていて、
さらにご本人が説明をしてくれる時間帯で、うわーっとなった。

旅行記を読むとは
「そのもとになった旅を読み、
旅する人を読み、旅した場所・地域を読み、
旅した時代を読むこと」
である。

という金坂先生の言葉がすごく響いた。
http://instagram.com/p/n2A9uViwun/


夕方にあまやんさんと合流して、
札幌から快速エアポートで空港まで移動して、
21時発の飛行機で、羽田に帰ってきた。
3日間とは思えないほど濃密な時間で、
1週間ほどいたような気持ちがした。
北海道へ行ったといっても、札幌だけなので、
次は他のエリアにも行ってみたい。
みなさん、ありがとうございました。

連休のときのこと。買ってよかったものなど。

4月末から月・水・金と1日おきに会社へ行って、
そのあと4連休のゴールデンウィークだった。
飛び石連休のあいだは会社に人が少なく、
電話もほとんどかかってこなくて静かで、
夏休みの登校日みたいな感覚でのびのびしていた。


休みの日は普段10時頃まで寝ていたのだけど、
この頃は早寝早起きが習慣化したみたいで、
7時には自然に目が覚めてその後も眠くない。
1日が長く、朝風呂に浸かって読書をして、
昼からジムで運動、夕方から飲みに行ったりして、
有意義にすごした。よかった。


よかったといえば、買ってよかったものがあって、
ブルーレイディスクレコーダーを買ったのだ。

入門者向けのシンプルでコンパクトなもので、
HDDに40時間撮れて、いっぱいになったら、
ブルーレイにコピーしてHDDを空けるのだけど、
まだいっぱいにならない。
「タモリ倶楽部」と「世界ネコ歩き」と
NHKのドラマの「ロング・グッド・バイ」と、
BSの「SHERLOCK」を撮って見ている。
http://instagram.com/p/nDU1v6Cwut/


あとパイロットのエラボーという万年筆を買った。
高いから迷っていたのだけど、とてもよい。
力を入れずにさらさら滑るように書けるし、
インクの濃淡もきれいで、超いい。

パイロット万年筆 エラボー ブラック 細字軟(SF) FE-25SR-BSF

パイロット万年筆 エラボー ブラック 細字軟(SF) FE-25SR-BSF

http://instagram.com/p/nkyJZOCwo_/
ペンと紙ブームが来ると思う。
ペンならパソコンを立ち上げたりエディタを起動せずに、
すぐに入力できるというか同時に出力できるからすごい。
プリンターもバッテリーもいらないし、軽い。
ペン、すごい! なにこれー!


猫のクッキー型を買ってきて、クッキーを焼いた。
http://instagram.com/p/nPxIK6CwgL/
http://instagram.com/p/nPxceDiwga/


あとそうだ、会社の同僚のNさんとKさんと、
三田を散歩して古墳を見て、東京タワーの展望台まで
階段で上って下りて、焼き鳥を食べたのだった。
http://instagram.com/p/nvDZUMCwpV/
Kさんとは、また別の日にSさんと3人で、
鎌倉を歩きまわったのだった。どちらも楽しかった。
http://instagram.com/p/nvDdAAiwpa/

物忘れがはげしい

「どうなるんだろう……」
と呟いて何のことか忘れている。
何かが今後どうなるんだろうという不安と、
それについて考えなくてはという焦りだけが残っている。
その肝心な「何か」を忘れているのだった。
つい数秒前までそのことについて考えていたのに。


考える対象を忘れているのだから、
もはや不安がることはない。というか不安になりようがない。
例えば、さっき食べたものが腐っていたような気がして、
いま胃の中に収まっているのだけど"どうなるんだろう"とか、
気がかりな仕事があって、それを進める手立てが見つからず、
このまま行くとプロジェクトは"どうなるんだろう"とか、
そういった対象があるから、未来を不安に思えるわけだが、
対象を忘れているのだから、どうなるのか元からしてわからない。


だったらもう心配することはない、と思えるかというと、
もちろんそんなことはなく、思い出したらふたたび、
「どうなるんだろう」の続きから向き合って悩むことになるし、
それならなるべく早くから考えておいた方が安心する気がする。
不安になれないことが不安になる。思い出せなくて焦る。


そうこうしているうちに、降りるバス停の名も忘れていて、
スマホの乗り換えアプリを起動しようとすると、
Twitterのメッセージマークが目に入り、
あ、と思ってそちらを見て、どう返事しようかなと思いつつ、
他のメッセージを見ていると、
「そうだ、あれ買おうと思ってたんだ」
と脈絡なく欲しかったものを思い出し、
amazonのサイトにアクセスして表示を待つ間、
facebookを見ておこうとお知らせを見ていたら、
買おうとしていた物を忘れている。
まずいなと思ってスマホをしまって、
はあ、まずいまずいなんてバスの電光掲示板を見ていたら、
そうだバス停を調べようとしてたんだとスマホを取り出し、
ああこれこれ、と思ってポケットにしまう。


「カルダモン」


という言葉が急に浮かんでくる。おどろく。
これから行こうとしているカレー屋の
スープカレーに大量に入っている香辛料の名だ。
すぐに出てこなくていい言葉ほどいきなり出てくる。
カルダモンという言葉が実際に欲しいときには出てこない。
その自信はある。必要なときのために取っておきたかった。
あそこのスープカレーうまいんだよな。
で、バス停の名前なんだっけ。
と、こんな調子になっている。


http://instagram.com/p/nXE1Auiwp_/

人狼合宿をしたことや、文芸漫談へ行ったことなど

4月11日(金)

会社の施設ではないのだけれど、
三浦半島に安く泊まれるホテルがあって、
社員が代表者になればどんなグループでもよい、
と書いてあったので、へもい人々で行った。
お正月にやった人狼というゲームにみんなはまって、
またやろう! という話になっていたのが、
三ヶ月の時を空けて実現したのだった。


金曜の夜からなので、それぞれ会社を出て、
三浦のホテルにばらばらと現地集合。
早く着いた人は海岸を歩いたり、お寿司を食べたりして、
ぼくも早めに着いたので、お寿司を食べた。
京急ウィング号ですでに缶ビールを一本やってきた
中田さんが合流するなり熱燗を頼んだので、
これから人狼するんだけどいいかなと思いながら一合半ほど飲む。
うまい。三崎港が近いから寿司がうまくて次々食べる。
http://instagram.com/p/mpZtPTiwkh/
リゾートホテルの最上階近くで、
海岸線の夜景が遠くまで見渡せるオーシャンビュー。
部屋がだだっ広くて五部屋くらいあった。
それでいて安い。
f:id:shiinaneko:20140420215346j:plain
温泉もあってゆっくり浸かって疲れを癒して、
なんかもう人狼とかやらずに寝るのもいいよね、
みたいな感じになったけど、二三時、
和室に男女一四名が集まり人狼を開始。
たかはしさんの持参したホワイトボードが活躍し、
大盛り上がりでほとんど時間が気にならかった。
http://instagram.com/p/mqSJYqiwgz/
六時間ほどやり続けて、日の出。
朝陽を拝むと、村人同士の争いや、
人狼の餌食になった生臭い過去が、
いっぺんに浄化されるような、ありがたい気持ちになった。
http://instagram.com/p/mqd7cOiwid/
日本の民間信仰に「日待ち」というのがあって、
みんなで飲んだり遊んだりして
日の出を待つ風習があるらしいのだけど、
それに近いのかなと思った。
それにしても楽しかった。もっと強くなりたいと思った。
人狼はゲームボードもいならいし、
カードは役割をランダムに決めるときに使うだけで、
ほとんど物を必要とせずに頭脳と話術で遊ぶゲームで、
とてもやりがいがある。プレイヤーの言葉や反応、
場の空気といったインプットを気を緩めずに吟味して、
論理的な思考で、適切に処理し、判断をし、
明快なアウトプットをしかるべきタイミングで行い、
場に流れを生み出さなくてはならない。そのためには、
心理学、社会心理学、統計学、
論理力、表現力、演技力、交渉力などなど、
必要な知識と能力のトータルバランスが問われ、
ぼくに足りないことだらけなのだけど、
だからこそいろいろ勉強になって感心する。
しかも能力があっても、プレイヤーがさまざまで、
不確定要素が多いので毎回驚くような展開になる。


男子部屋と女子部屋に分かれて三時間ほど眠って、
朝風呂に入って土曜の昼前にチェックアウトした。
昼は全員で前日行ったお寿司屋さんで食べた。
その後、剣崎灯台へでも行こうかみたいな話もあったけど、
人狼の熱が冷め切らず、もっとやろうという流れになって、
なんと再びホテルに戻って、会議室を借りて昼の部を開始。
http://instagram.com/p/mrTYTICwr6/
五時間ほどプレイして、さすがにくたくたになった。
けど、夜の帰りの電車がガラガラだったので、
まだ人狼をやったりもした。
http://instagram.com/p/mr6GfDCwtL/
f:id:shiinaneko:20140420221710j:plain
人狼漬けの24時間。疲れたけどよかった。
いまは会議室を探している。密かに腕を磨きたい。




人狼合宿の翌週、月曜からみごとに風邪を引いた。
典型的な風邪で、熱が出て鼻が出て咳が出て、
ずっとぼんやりした。けど、
朝型生活を始めようと急に思い立って、
毎朝五時半に起きて、七時台に出社するのを続けた。
朝は誰もいなくて静かでいい。捗る。


早くに来て働いて、定時で帰る。
五月の文学フリマ向けの小説を家で書くのだ。
熱を出しながら書いていたので、読むのも書くのも、
ぐるぐるとなってしまってちょっと参った。

4月18日(金)

楽しみにしていた文芸漫談に行った。下北沢。
風邪は相変わらずで熱っぽく、
ふわふわしていて現実感が薄い感じがした。
現実感が薄いところに、今回の文芸漫談のテーマが、
倉橋由美子の『スミヤキストQの冒険』ときていて、
この小説は本当に掴みどころのない恐ろしい小説で、
長編だから何日もかけて読んでも、
どういう気持ちにもならない。
ずっと不安の中を空回りしているような、
とにかく言葉で表せられない反小説なのだった。

スミヤキストQの冒険 (講談社文芸文庫)

スミヤキストQの冒険 (講談社文芸文庫)

それからいつもはイガラシイッセイ氏と
文芸漫談に来ることが多いのだけど、
今回はイッセイ氏は新婚旅行でイタリアに行っていて、
それも現実感がないし、一緒に行ったのは、
お会いするのが二度目の素敵な女性で、
これもなんかうれしくも不思議な気分だった。


漫談はおもしろく、前回の織田作之助の『夫婦善哉』の
ときほど笑いは起きていなかったけどそれは作品の質の違いで、
深く深く掘り下げていくところがとても興味深く、
楽しかった。のだけど、ラスト、ちょうど終わる直前に、
客席の後ろの方から女性の悲鳴のような大きな声が響いて、
漫談が停止して、騒然となったのだった。
長い長い声で、とんでもないことが起こっていると思って、
ぞっとして固まっていたら、どうやら癲癇の発作の人らしく、
運ばれていって、漫談は終わった。
運ばれた人は意識を取り戻し回復しましたと、
後になってTwitterにあって、とてもほっとしたのだけど、
こういう出来事は生まれて初めての経験で、
ああいう声を聞くと、こういう気持ちになるのか、
と思ったのだった。それが、意味を破壊したり無効化したりする
『スミヤキストQの冒険』の作品世界と妙にシンクロして、
また風邪で熱っぽかったこともあって、
神経が怪しくなりそうで、たぶんぼくは真っ青だったと思う。


北沢タウンホールを出て、すぐ近くの焼き鳥屋さんに入って、
日本酒を飲んでいるうちに落ち着いてきて、
小説の話をしていたら楽しくなって、
すっかり回復した感じになってにこにこしてきたので、
我ながら単純だなと思って、ありがたいなあと思って帰った。
忘れられない一日になった。ほんとびっくりだったわ。

4月19日(土)

起きると喉が痛く、というか喉が腫れ上がって痛くて、
つばも飲めないし、息も吸いづらくて寝ていられずに起きた。
診療所へ行くと、風邪のシーズンのピークは過ぎたみたいで、
いつも混んでいる待合室が空いていて、薬をもらって帰った。
その後は家から出ずに小説を書き続けた。
ここ数日のことや、思ったことや感じたことが、
そのまま小説の中に流れこむけど、仕方ない。
生きれるようにしか生きられない、できることしかできない、
という気持ちに去年ぐらいからなっていたのだけど、
その流れで、書けるようにしか書けないという気持ちで、
とりあえず書くしかなかった。書いて読んで、
書き直し、読み直して、書くの繰り返しをしていたら、
わけのわからないものができたけど、これも仕方ない。


突き抜け派のメンバーたちの小説が集まって、
それをプリントアウトしてじっくり読ませてもらって、
刺激をもらってそれを燃料みたいにして書いた。
こういう経験ってとてもありがたくてうれしくなる。

4月20日(日)

喉の痛みで七時に起きる。
先週ほぼ五時半に起きていたから、
休日も早起きになるリズムになったのかと思う。
そういえば日本画を描きたいと思って道具を揃えて、
下塗りまでしていたことを思い出して、いきなり、
へもねこの絵を完成させた。
http://instagram.com/p/m_eJX1Cwlf/
それから小説を一応最後まで書いた。
送ってもらった小説を昼からもう一度読み直して、
感想を書いてメーリングリストに投稿した。


熱は治まったようだけど、
くしゃみが一時間に十回くらい出る。鼻もでる。

3月後半の日記。今年の3月はそれほどひどくなかった。

最近、文章をよく書いている。
会社で特集記事を書いたり、メルマガを書いたり、
コードも書いたりしている。
家では、エクストリーム出社の原稿を書いたり、
文学フリマに向けて小説を書いたり、この日記も。
公私ともに書いている。書くのは楽しい。
自分なりにうまく書けるとうれしい。

3月21日(金・祝)

長く遊んでもらっている友人の
kasahiさんと春昆布さんの結婚式があった。
恵比寿のウェスティンホテル東京。
披露宴会場には百人を超える人がいて密度が高く、
陽性のエネルギーが溢れる素敵な空間だった。
ご親族と会社関係の方と学生時代のお友達が、
新郎新婦それぞれで大きなグループになっていて、
そこに第三の勢力という感じで、へもいっ子たちがいた。
http://instagram.com/p/l0AKNpiwoT/
新郎側の人たちも、新婦側の人たちも、
あの団体は何なんだろうと思っていたのではないか。
それくらいいた。中央にいた。だけど、
「新郎新婦はへもいっ子クラブのメンバーでして」
などと言ったら、親族の方々に
上京しておかしな新興宗教にはまってしまったのでは
と、しなくていい心配をさせてしまってはあれなので、
じっとしてお祝いしていて正解だったと思う。
f:id:shiinaneko:20140401214851j:plain
ふたりの証明書を掲げるぼく


やさしくて、おもしろくて、ふたりとも大好きです。
ふたりに笑ってもらえるのがなによりうれしいのです。
これからもずっとお幸せに。

3月22日(土)

円城塔さんと川田十夢さんのトークイベントへ行った。
日本近代文学館。駒場東大前から歩いた駒場公園の中にある。
http://instagram.com/p/l7Pm2wCwoY/
イベントは『超発明』という本の復刻記念だった。

超発明: 創造力への挑戦 (ちくま文庫)

超発明: 創造力への挑戦 (ちくま文庫)

復刻される前は1971年に発行されていて、
抽象的だったり哲学的だったりして現実離れした発明品の数々が、
真鍋博さんのイラストと文章で美しくおもしろく描かれている。
「三次元鉛筆」「移動眼球」「四角い卵」といった、
実現は無理そうな空想の発明品ばかりなのだけど、
発行から40年経って、実現化されているものもある。
道端ですれ違った人の顔などすべてを自動的に記録する
「ダイアリー・メモランダム」はライフログみたいだし、
「耳栓ろ過器」はノイズキャンセリングだし、
走った後に道ができる自動車「道路自動車」は、
カーナビの道路ネットワークを作るときの
手法みたいに思えたのだった。だから、
現実的なドラえもんひみつ道具事典といった感じ。
で、長く絶版になっていて古本で1万円超していたのが、
ちくま文庫で復刻されて740円だったので買った。
http://instagram.com/p/l7PgNlCwoQ/
本もおもしろかったのだけど、トークもおもしろかった。
小説家とARの開発者がお互いに質問をぶつけあって、
それに答えるスタイルでエキサイティングだった。
メモしたことを適当に書く。

・耳なし芳一はAR
 般若心経という無を表すコードは霊から見ると透明になる
・現実を受け入れるようになって悪夢を見なくなった
・スタンド(ジョジョの奇妙な冒険)は小説で書けない
 マンガ固有の表現なので受け入れられる(土台作り)までに
 時間がかかる。土台作りの功績。
・小説は書かなくていいものがある
 あとから設定を足したり、時系列を変えたり、
 小説にしかできないことがある。
・豪華客船につけられている気がする
・人間という実行系が抽象的なので複雑なものはできない
・GoogleMapのようなレイヤーで構成された小説
・自分が出てくる映像を何度も見せられると
 偽の記憶が作られる。
・自分の頭をあけてみて、脳みそがなかったら驚きますか?
・作為に付き合うのに疲れてきた。
・人間とはどこまで人間なのか、境界はどこまでか

こうして書くとよくわからないけど、意識や現実が、
ガタガタと音を立てて拡張されたように感じた。
しばらく言葉がでなかった。家に帰って昼寝して起きたら、
駒場公園も近代文学館もふわーっとした印象で、
夢だったような気がした。


偏愛文学館 (講談社文庫)

偏愛文学館 (講談社文庫)

倉橋由美子さん『偏愛文学館』を読んだ。
著者が愛した作品を美しく紹介していて、
例えが鍋や珍味や一品料理お酒の香りや味など味覚的で、
小説家の特技や背景など美食のお品書きみたいな本だった。
好きな小説がいくつか入っていたので、
並んでいるもの全部読みたくなったけど、
情報で太りそうだと思った。
私の名前は、高城剛。住所不定、職業不明

私の名前は、高城剛。住所不定、職業不明

情報で太りそうと思ったのは、この本で、
「情報デブ」「情報ダイエット」といった言葉を
目にしたからだった。高城剛さんの本には、
未来のことが書いてあるのでおもしろい。
価値観がぜんぜん違うし、その価値観に、
世の中が移行しつつあることもなんとなく感じる。
なんとなく感じていることがズバリ書いてあるから、
痛快なんだろうなと思った。もっと読みたい。

3月26日(水)

会社の同期のTさんの送別会があった。
川崎の鳥料理屋さんで、10人ほどで飲んだ。
ご家族が体調を崩され、実家へ帰って支えるとのことで、
いろいろなことが問題なくうまくいきますようにと思った。
転職をするから辞めるというのと違って、さみしいけど、
Tさんは誠実で技術があって、なにより親切で優しいので、
うまくいってほしいと思った。祈っています。

3月28日(金)

以前に取材を受けたフリーマガジンの
『HOT PEPPER』4月号が発行された。
http://instagram.com/p/mKI8pYCwlN/
自分でもおどろくような笑顔をしている。
文は石原たきびさんで、撮影は富井昌弘さんで、
撮影のときは、リクルートの編集者の方もみなさんで、
大田市場に行ったのだった。それがとても楽しくて、
このような全開の笑顔になったのだった。
「エクストリーム・スマイル」と言ってくださった
富井さんはどんなお仕事をされているのだろうと、
検索したら「小栗旬ファースト写真集」がヒットして、
マジパないと思った。

3月29日(土)

去年も誘っていただいた高架橋脚とかを
眺めながら歩く人たちのお花見に行ったのだった。
http://instagram.com/p/mHcRVPiwst/
大船のフラワーセンターというところ。
桜は咲いていなかったけど、いろんな種類の花が、
見頃を迎えていてとても美しかった。
レジャーシートを敷いて各自持ち寄ったものを食べた。
1時間ほどしてトイレに立って園内をふらふら歩いていたら、
木蓮を見上げているおばあさんがいた。
散歩には大げさなハイキングのような格好で、
白いソフト帽をかぶっていた。何人かで来たのか、
ひとりで来たのかわからないけど、
静かに木蓮を見上げているおばあさんを見ていたら、
鼻の奥がツンとした。


鳩のマスクを持ってきた人がいて、菜の花の前で撮影会をした。
http://instagram.com/p/mHiJB5iwhb/
みなさん、陽気でおもしろくて、
しみじみ楽しかった。来てよかったと思った。
家に帰って水彩画を描いた。
http://instagram.com/p/mIJhbhCwlr/

3月31日(月)

笑っていいともが最終回だった。
テレフォンショッキングに出るのが夢だったのだけど、
叶わないまま終わってしまった。
タモリさんにもっとも近づけたのは、
5年前の「夏のそっくりさんコンテスト」で、
そっくりさんを紹介する人として、
フリップを持ってアルタの舞台に出たときだった。
f:id:shiinaneko:20140401235719j:plain
メインは松坂大輔にそっくりな後輩なのだけど、
ぼくが扉を開けて舞台に出たときに、
「おお!?」
とタモリさんが言って、
変なやつが出てきたぞみたいな感じで、
サングラス越しのやさしい目で、
ぼくのことをおかしそうに見てくれたのが大変な感動で、
関根さんがぼくに付けてくださった
「2時間おきに目が覚めます」
というキャッチフレーズがほとんど耳に入らないくらい、
感動したのだった。


31日のグランドフィナーレを見て、
タモリさんの最後の挨拶を書き起こした。

出演者、スタッフのおかげで32年間、無事やることができまして、
まだ感慨というのがまだないんですよね。
ちょっとホッとしただけで、
来週の火曜日ぐらいから来るんじゃないかと思います。
もう明日もアルタに行かなきゃなりません。
楽屋の整理があります。私物がいっぱい置いてありますので。

みなさんのおかげで本当にここまでくることができました。
まー、考えてみれば、あのー、気持ちのわるい男でしてね。
こういう番組であの以前の私の姿を見るのは私大嫌いなんですよね。
なんか、こう気持ちがわるい。この……、濡れたシメジみたいな感じ。
なんかこう、いやーな、この、ぬめーっとしたようなあの感じで、
本当に嫌でして、私いまだに自分の番組見ません。

またそれで、性格が当時ひねくれておりましてね、
不遜で、生意気で、世の中舐めくさってたんですね。
そのくせ何にもやったことないんですけども。
これがどうしたわけか、初代の、亡くなられました、
横澤プロデューサーから仰せつかりまして、
ま、だいたい3ヶ月か半年ぐらいで終わるんじゃないか
と思ってたところが、この32年になりまして。
まあ生意気なことでやってたんですけども、
その長い間に視聴者の皆様方がいろんなシチュエーション、
いろんな状況、いろんな思いで、ずーっと見てきていただいたのが、
こっちに伝わりまして、私も変わりまして、
なんとなくタレントとして形を成したということなんです。

で、皆様方、視聴者の皆様方から、
私にたくさんの価値を付けていただき、またこのみすぼらしい身に、
たくさんのきれいな衣装を着せていただきました。
そして今日ここで皆様方に直接お礼を言う
機会がありましたことを感謝したいと思います。
32年間、本当にありがとうございました。お世話になりました。

この挨拶を聞いて思ったのは、笑っていいともは、
タモリさんの成長物語だったのだなということだ。
赤塚不二夫さんの「これでいいのだ」という肯定の言葉が、
自分に言い聞かせるタイプのものだとしたら、
「いいとも」は、自分だけではなく、
相手に対して呼びかけるタイプの肯定の言葉で、
そこには次元が増えるくらいの大きな上昇があると思った。
"不遜で、生意気で、世の中舐めくさってた"状態から、
視聴者からのたくさんの肯定の「いいとも」という呼びかけ、
つまり愛を受け取り、それを循環させ、タモリさんは変わり、
いまのような穏やかで立派な感じの人になったのだなと。
その成長物語を毎日、月~金と増刊号で繰り返し見ることで、
視聴者も知らず知らずに成長してきたのではないだろうか。


いいともは終わってしまったけど、
まだタモリ倶楽部があるので諦めずにがんばろう。