『突き抜け9』出ました

突き抜け9』が出ました。
第一作の『突き抜け』の発売が、
二〇一〇年五月なので、とうとう五年目です。
そりゃあ、ぼくみたいな下手な人でも、
五年もやってるんですから、多少はましになりますよ
(なっててほしい……)。
前号あたりから、自分なりに書くことが、
ようやくわかってきたような気がします。
何度も書くことが大切なのですね。


ここ最近、精神分析の本をよく読んでいます。
精神分析を通して、分析家とクライアントの
共同作業で紡ぎだされる「物語」の意味や、
その表出のしかたに興味を持ちました。
小説と重ねて読んでいます。
いろいろ思ったことがあるので、
ブログに整理して書きたいと思います。


今回の突き抜けに書いたのも、前回のも、
自分の精神分析をするみたいにして書いたものになりました。
だからか、書いている間と、書き終わってからしばらく、
とても憂鬱になりますが、それを越えると、
すっきりじゃないのですが、自分の歪みや破綻がわかって
諦めがつくというか、書く前よりも精神が、
多少ましになっている気がします。
自分を、ましにしたくて書くみたいになっていますが、
読んだ人にも何か変化があればいいなあと思います。


『突き抜け9』は10人で作りました。
みなさん、とてもおもしろいです。ページ数も過去最大で、
内容もバリエーションがあって読み応えがあります。
ぜひ読んでください!!

こちらから購入できます。
突き抜け9
800円/154ページ/2015年5月発行

収録作
「だだ捨離」 高林 村
「距離のスナップ」 寺沢 美帆
「透明標本」 とろ
「女と猫と赤ちゃん」 千木良 まりえ
「空と屋根との間には」 たかはし りょうた
「秘密」 竹本 統夫
「とても眺めのよい座敷牢」 鈴木 鹿
「ラヴ・タクティクス」 和田守 俊介
「どう罵るか問題」 椎名 隆彦
「リクロマシー・セッション」 イガラシ イッセイ

5月4日(月・祝)の文学フリマに出ますよ。

5月4日(月・祝)の文学フリマに出ます。
突き抜け派です。新刊『突き抜け9』を売ります。
東京モノレールに乗って、流通センター駅です。
来てね~

今回の『突き抜け9』に参加したのは過去最多の10名。
そのうち4名が新しく書いてくれました。
みなさん個性的で強力です。レギュラーメンバーも。
文学フリマ当日までに、紹介していけたらと思います。

それと、いつも「純文学」で出店しているのですが、
1階の純文学エリアは人通りが少ないので、
2階の「ライトノベル」に移りました。
なので、ライトノベルだと思って読んでいただければと思います。
みんなライトノベルを意識して書いたはずです。


https://instagram.com/p/zos5mZCwlX/


ところで、本にする原稿を書いたのですが、
いつも〆切の1~2週間前から大変な思いをします。
その1~2週間にゼロから書いているからです。
文学フリマは半年に1度(春と秋)だから、
次の〆切までに6ヶ月もあります。もし1日1枚書いたら、
半年で180枚、50枚の小説が3本も書けますし、
何かの賞に1~2本は応募できます(皮算用)。

理想は毎日少しずつ書くことなのですが、
どうしてもできません。〆切がないと動きませんし。
こういうところが、ぼくの人生を大きくダメにしている
要因のひとつという気が、すごくしています。

ちなみに、イガラシイッセイさんも1週間前まで、
ほぼゼロでしたが、〆切にはなんと、
100枚も書いて提出してくれました!
突き抜け派の今回の規定では30~50枚だったのに、
100枚です。はっきり言って、

やめてくれ!!

と思いました。長すぎです!
これが何を意味するかというと、本の値段のアップです。
しかし、しーなねこ編集長、持ち前の技で、
イッセイ氏だけ段組を3段にして、読みやすさを保ったまま、
文字のサイズと行間を加工し、ページ数の圧縮に成功しました。
前回と同じくらいですみそうです。

100枚ってのにおどろいて、
値段のことを書いてしまいましたが、
正直、値段なんてどうでもいいのです(本当です)。
大切なのは内容です。
イッセイ氏の小説は力作で、長いだけでなく、
すごくおもしろかったので、ぜひ読んでください。
タイトルは、……思いだせません(何回見ても忘れます)。

「リクロマシー・セッション」

です。ちなみに「リクロマシー(Rechromacy)」とは、
イッセイ氏の造語です。こういうところが、
ラノベっぽいと思われます。
https://instagram.com/p/1vj9Gpiwoc/
モニターだと読むのがつらいので、
プリントアウトしたイッセイ氏の原稿。
これでさらに両面印刷ですから、バビる。

季節の変わり目で調子が変(恒例)

季節の変わり目いかがおすごしでしょうか。
十数年もこうやって日記を書いていると、
自分の不調のサイクルや原因・対処法もわかってくるもので、
気温の変化と花粉によるストレスと、
ストレスによる自律神経の失調と免疫力の低下。
全体的に、風邪気味になり、胃腸が荒れ、気分が落ち込む。


糸井重里さんのコラムに冬と春の境界は気温12度と
書いてあったのを読んで、とても腑に落ちたのだった。
12度をすぎると、魚が動き出したり花が咲いたりするらしい。

この時期は、朝はだいたい12度を下回っていて、
昼に12度を超えて、夜にまた12度以下になる日が多い。
その一方で、日中ずっと寒い日もあるし、その逆もある。
とにかくその気温12度のスイッチが、
ガッチャガチャ激しく動かされ揺さぶられるから、
赤あげて、白さげて、赤白さげて、白あげないみたいになって、
ぼくの中のスイッチがバカになるというか、
自動制御をしている自律神経の板前が
「もー、どっちなの! はっきりしてよお客さん!」
とヒステリーに怒鳴る感じもすごいする。
それで、ぐったりする。耳鳴りもめまいもする。
あと背中もちょっと痛いし、土踏まずも歩くと痛い。
肩を上げると痛むし、体の柔軟性はますますなくなり、
目はしばしばするし、口は乾くし、しゃべると
口の端に泡ができそうになるし、声がかすれ、
鼻が出る、くしゃみが出る、夜中に何度も目が覚める。
どうも息苦しいし、いっぱい吸うと鎖骨の辺に空気が溜まって痛い。
集中力がすぐに切れる。かゆい。お尻も痛い。
油断すると、へそがほどけそうになる。酒がすごい回る。
腰がいたい。暖房つけると暑くなるし、切ると寒い。
眠い。いくら眠っても眠い。寝て起きると頭痛がする。
コーヒーを飲むと多少スッキリするがトイレばかり行く。
尿の切れはわるく、いつのまにかチョコレートを食べている。
自分から話し出したのに途中で面倒くさくなる。フケが出る。
マッサージに行ってもあまり変わらないので、
都内の強力なリフレクソロジーへ行ったら好転反応か、
頭痛、発熱、関節の痛みが出て寝込む。
胃カメラをしたら、大きな異常はなかったが、ピロリ菌がいた。
毎朝起きて、どこにも不調がない日がない。
春先は頭がおかしくなる人が出るというのは、
とてもよくわかりますね。それではここで一曲お聴きください。
井上陽水で「桜三月散歩道」。


そのようになる男だから、3月は仕事にならない。
で、休暇を5日間連続で取れる制度を3月に使って、
ただひたすらじっとして、この日々をやり過ごすのです。
毎年こういうふうになるので、3月の乗り切り方を真剣に考えた。
来年からは日本を脱出したい。日本の季節が完全に切り替わるまで、
ハワイにいたい。飛行機にのるのは苦手だけど、
上述したような不安定なことになるならハワイに行った方がいい。


それと伯父さんが脳梗塞になったのだった。
なったのは2回目で、1回目は何年も前だった。
伯父さんはひとりで暮らしていて、父がなんとなく電話をしたら、
受話器の向こうでろれつが回らなくなっていたので、
様子を見に行ったら、おかしくなっていたらしい。
ろれつがまわらなくなりながら、3日も暮らしていたそうだ。
いまは入院して点滴して、命の危険はないけど麻痺している。
どうしたものかと思う。介護とか。祖母も寝たきりになってしまったし、
親戚、家族の老いが確実に迫ってきているのをひしひしと感じる。
そしていつか自分もそうなるのかと考える。
一族というと大袈裟だけど、家のライフサイクルが、
衰退期に入ったんだんだなと思う。新しく家族ができたり、
子どもが増えたら、新しいサイクルが生まれるのだろうけど、
新規ビジネスの種をまいて成長させることをせずに、
従来と同じことを繰り返してきた企業が倒産するのと同じく、
斜陽になってきたなと思うことがここ最近多くなっている。
まいったなー


言うほど、まいってませんが、
しゃんとしないといけませんね。
いろいろな制度を調べたり書類をよく読んだり、
そういうことをまじめにやらないとなと思いました。

集中力が欠けるから読書もあまりはかどらない。
疲労しているのだと思う。蓄積型疲労です。
花を咲かせるために蓄えられたエネルギーが、
春とともに一斉に噴き出して満開になるみたいに、
たまっていた疲れや暗い感情も一気に噴出す。
一冊だけ読んだのは、
パトリック・モディアノの『パリ環状通り』。
3月のこの気持ちにしっくりくる小説でした。

パリ環状通り 新装版

パリ環状通り 新装版


https://instagram.com/p/0eyN5miwoY/
https://instagram.com/p/0hmaSBCwiZ/
それと鎌倉文学館神奈川近代文学館へも行った。
国立新美術館マグリット展と、
神保町の「春の古本まつり」も行った。
どれもよかった。


https://instagram.com/p/0rw3uiCwiA/
https://instagram.com/p/0uuuj5iwi9/
https://instagram.com/p/0wyzZqiwns/

あんこう食べに行ったりしたことなど

日記をますます書かなくなってしまっている。
書きたくなったら書けばいいと思っていたけど、
放っておくと本当に書かなくなってしまったし、
書かないと、考えて頭を整理する時間も減るみたいで、
どんどん頭が空白になっていって、より書けなくなる、
考えられなくなると感じて、1日練習をサボると、
その遅れを取り戻すのに3日かかるぞみたいなのが、
連続したら思うと、うわぁ、と焦りを感じるのだった。

夕食の写真しか撮らなくなっている。
ブログのために撮っておこう、
という気がなくなっているからだろう。
疲れているのだと思いますよ、きっと。
まいった、まいった。しかしながら、
ぼくよりもずっと働いていると思われるのに、
超書いている人もいる(鈴木鹿さんはまじすごい)ので、
ぼくはどこか変な気もするのですが、
落ち込むほどでもなく、ただなんとなく、

へもい気持ち

になるのです。何かが足りてないんだろうなと、
アリナミンを飲んだり、マッサージ行ったり、運動したり、
出力のパイプがどこかで詰まっていて、
ちょっと何かのきっかけさえあればまたなんて思い、
もうそれを何ヶ月も思っていて、変化がない。
うーん。やっぱり何か書いたり作ったりして
活動的にしているときの方が人生が楽しいな、
とあらためて、しみじみ感じています。

とはいっても、1月の日記を見返したら、
いろいろしていたので、その反動が来ているのかもしれない。
とか、そういうことをいちいち理由つけて考えるのも、
もう面倒になってきた! フォー!!

2月7日(土)

2月は旅行へ行きました。あんこう鍋を食べる一泊二日の旅。
福島県勿来駅からクルマで10分ほど南に下ると、
茨城県に入ってすぐ、北茨城市のまるみつ旅館。
おのしゅうさんと、まいこもりすさんとで行きました。
温泉入って食べてという幸せな旅でしたが、
写真は次の3枚だけ。前述したとおり、
ブログに書こうという気が減っているのがよくわかります。
https://instagram.com/p/yzeQQUCwi-/
これがあんこうの丸揚げです。
これ以外にも、あん肝、刺し身、どぶ汁などたらふく食べました。
淡白だったり、濃厚だったり、ぶよぶよしていたり、どれも超うまい。
まるみつ旅館は、あんこうを食べることを日本に広めた
存在でもあるらしく、たくさん表彰状が飾られていた。
f:id:shiinaneko:20150315234139j:plain
これは朝5時頃に歩いて長浜海岸まで歩いて見た日の出。
美しかった。くもりだったけど、この瞬間だけ太陽が見えた。
https://instagram.com/p/y0lg5mCwu_/
長浜海岸は鳴き砂も有名らしいけど、
湿っていたからか鳴かなかった。

2月8日

そうだ、2月は原稿の依頼があって、
あんこう旅行の電車の往復と宿でみんなが寝ている間に、
記事を書いたのだった。
以前にエクストリーム出社の関係でお会いした
エヒタさんが編集長をしている編集部から、
婚活サイトを使って真剣に婚活をする記事を書いてください
と依頼をいただいて、実際にまじめに婚活をして書いて、
とても有意義な体験になったのだった。

婚活の一環で、話し方教室に行って、
この体験も忘れられない大切な記憶になったのだけど、
こちらは別の機会にブログに書きたいと思います。
今回の記事を書いて、いちばん感じたのは、
「やったことのないことを体験して、おもしろく伝える」
という、以前よくデイリーポータルZの
デイリー道場に投稿していたようなことを、
ひさしぶりにできたのがよかったなということです。
この感覚、すっかり忘れてたなと思いました。


そもそもどうして、
「やったことのないことを体験して、おもしろく伝える」
をしなくなってしまったのだろうと振り返ると、
記事をよく投稿していた頃は、それをやっている人が少なかった
というのがあると思います。あれから数年で、
だれもができるようになり、デイリー道場はなくなり、
熾烈な一発芸PV(ページビュー)競争時代に突入するのです。
ネタは乱立し、わーっと盛り上がっては、さーっと消えていく
スパンが短くなり、面倒くさくなってしまったのだと思います。
競争が苦手だから、人と違うことをしていたのに、
それが当たり前になって競争になってきたのが、
いやだったのかなと思います。
たまに、やりたいと思えるのは、エクストリーム出社みたいな、
これは大きなことになりそうと予感できるようなことだけで、
それ以外は、なにもしたくなくなってしまったというか、
そうしているうちに動きが鈍くなってきたような、
なんだろう、これが、

歳をとった

ってことなのでしょうか!?
いろいろ考えるわ。
話がそれました。


なんだかんだ書きましたが、
おおむね楽しくすごしています。
https://instagram.com/p/zZtmCciwsa/
https://instagram.com/p/z9ExnQiwoS/
十数年ぶりにレゴを買って遊んだ。
https://instagram.com/p/z7wU2diwhL/

年始のこと、ゲームをつくろうとしたり、生誕祭、ハッカソンに出たり、文芸漫談に行った。

明けましておめでとうございます。
今年はブログをたくさん更新しようと思ってたのに、
2月になってしまった。なんだろう。

http://instagram.com/p/xRoQarCwsg/
この写真は2015年1月1日になってすぐに、
壁に穴八幡宮の御札を貼ったところ。
年末年始は母が実家へ帰っていて大変だった。
大晦日、ぼくはじゃがいものスープを作った。
あったかいスープを飲みたいと思って作り始めて、
最後の工程で「冷やす」と書いてあって、えっと思ったら、
「ビシソワーズ(冷製スープ)」のレシピだった。
冷やさずに飲んだけど、まずくて、
妹が「これと同じのがマトリックスに出てた」と言って、
なるほど、それだと思った。大量に作ってしまい、
お椀に50杯分はあって、あまらせてしまった。
http://instagram.com/p/xQ3YNCCwkK/
元旦の昼から、恒例となっている小宮山さんの凧揚げに参加した。
吹雪いていた。元旦凧揚げ初の雪だった。
お正月の江ノ島は混雑しているのだけど、この日は空いていた。
海辺も人がほとんどいなかった(いつもなら夕陽を見る人が、
のんびり座っていたり、犬を散歩させている人がいる)。
強風の中、わーっと凧揚げをして、撤収。
そのあとデニーズでおしゃべりして、人狼をして帰った。
小宮山さん、ひでおさん、イガラシ夫妻、
なおさん、おのしゅうさんが来ていた。
しみじみしていて、よかった。
家に帰ったら、妹がお腹をこわしていた。
ぼくのスープが原因だった。酸っぱくなっていて全部捨てた。
f:id:shiinaneko:20150201150426j:plain
(ダヤンさん撮影。自作の凧を持ってきたひでおさん)


休みの期間はゲーム作りをした。
Unityというゲーム開発環境をダウンロードして、
本を見ながらちょこちょこ作っていった。
空から降ってくる皿を鉄球で割るゲーム。
このブログの前身の「しーなねこのページ」で公開していた
「皿割」というゲームの2015年版みたいな感じになった。
思えばぼくが初めてネット上に現れたときは、
フリーゲームソフト作者としてだったのだ。
いつのまにか、いまみたいなことになっている。
わからないものですね。インターネットすごい。
ここで遊べます。ハイスペックのPCで遊んでください)


今年の目標、というとおおげさだけど、
どういう感じでやっていこうかなと考えて、
「打率のよい生活」みたいなことにして、やっている。
毎日、小さなことでもいいので明日につながることをしよう。
ヒットやフォアボールでも、とにかく出塁して得点につなげたい。
たいしたことではなく、「ぐっすり眠る」とか「ジムで運動」でも、
ヒットにしている。「ゲームを作った」はツーベースヒットとか。
とにかく、ムダにすごさないようにしようと、
「打率のよい生活」を念頭においてから、
わりと毎日小さな充実感をもって生活できている。

1月9日

台湾の人気旅行雑誌「TRAVELER luxe」の巻頭特集で、
エクストリーム出社が紹介された。
f:id:shiinaneko:20150201020933j:plain
年末にあまやんさんと一緒にインタビューを受けたのだった。
通訳の方に間に入ってもらって、エクストリーム出社について、
いろいろお話したことが掲載されている(台湾語なので、
詳しくはよくわからないのだけど)。うれしかった。
日本ではOZmagazineにエクストリーム出社の
上級・中級・初級編の紹介で出ている。

1月10日

おのしゅうさんと夕方から鶴ヶ岡八幡宮へ行った。
どうも1月は、具合というかバイオリズムがよくないみたいで、
昼寝して頭痛がしていて、鎌倉まで行けるかと思ったけど、
コーヒーを飲んだらよくなってきた。
http://instagram.com/p/xq8niIiwhs/
初詣をして、参道沿いにある峰本で鍋焼きうどんを食べ、
ビール中瓶を半分飲んだ。うまかった。
おのしゅうさんと話して、
今年は自意識を薄めていきたいと語った。
強すぎる自意識とか自己愛が、結局自分を苦しめている。
とらわれずに力を抜いて生きる方が、自分にも他人にも楽ですよね。
それがむずかしくても、表面上はそう見えるようにすごしたい。

1月11日

胃腸の具合がわるいのでクリニックへ行って薬をもらった。
毎朝1回飲む薬なのだけど、どこにもなくて、
よく探したら、ゴミ箱に入っていた。
ぼくが無意識で捨てたのだ。おそろしい。
うっかりといえば、スポーツジムのロッカーが、
盗難防止のためにロッカーキーに番号を付けなくなったのだった。
なので、ロッカー番号を記憶しておかなくてはいけないのだけど、
運動後に自分のロッカーが分からなくなることがたまにある。
シャワーを出て素っ裸で分からくなっている人もたまにいる。
ぼんやりしていたら明日は我が身だと思って不安になる。
胃は年末年始の飲みすぎがよくなかったのだろうなと思う。

1月17日

Hassy&Massy生誕祭だった。
渋谷のイベントスペースを借りきって、
飲み食べ放題で、いろいろな出し物が発表された。
ぼくも毎回出し物をさせてもらっている。
年初に行われるイベントなので、自分の出し物の出来が、
今年1年の成り行きをうらなうと勝手に思い込んでいる。
みなさん気合いが入っていて、今年はバンドがあったり、
hassyさんはムービーを作っていたし、
かりんさんはミリオタ漫談(ためになっておもしろい)をして、
中田さんは平行世界の話(こわかった)をした。
たいへん充実していて満足した。

これがhassyさんの動画。
ぼくは「似てる顔シリーズ2015」をした。
似ている顔を集めて発表した。
f:id:shiinaneko:20150201150425j:plain
(小宮山さん撮影)

ところで、ネットで「似てる顔」を探していると、
たいてい誰かがすでに「似てる」ということを指摘していたりする。
しかもぼくが気づいたよりも、さらに似ている人を挙げていたりする。
例えば、テニスの錦織圭選手を、ぼくは「トイ・ストーリー」の
ウッディに似てると思ってウッディの画像を検索していたら、
あるまとめサイトで、錦織圭選手は「アナと雪の女王」の
オラフに似ていると画像付きで書いてあって、これは負けたと思った。
このようなことはいくらでもあって、似てる顔以外にも、
お笑い芸人がやる「あるあるネタ」なんかは、
ほぼ出尽くしてしまっているのではと心配になる。
ひとりの芸人の発想を、ネット上の何千何万もの人たちの、
あらゆる角度から切磋琢磨して創られた集合知が、
完全に凌駕している。いずれ、より創造的な分野についても、
この波が押し寄せてくる。そうなったら、
ぼくらインターネット雑技団はどうすれば、
生産的でクールに振る舞えるのでしょう。

1月24日

初めてハッカソンに出た。ハッカソンとは、
ハック(hack)とマラソン(marathon)を合わせたもので、
エンジニアやデザイナーや企画者でチームを組んて、
1日とか2日かけてサービスのプロトタイプみたいなものを作って、
発想のおもしろさ便利さ、作ったものの完成度を競うイベント。
YUさんにイベントの2日前に急にお誘いいただいて、
よくわからないまま、ものは試しと参加したのだった。


ハッカソンのテーマは、
ソニーが開発中のMESHという電子ブロックを使って、
未来の家では当然になっている生活を実現させようというもの。
ハッカソン参加者は50人で、うち20人がソニーの人、
20人がニフティの人、残りの10人が「変わった人(?)」
という分類と認識していて、
ぼくはその第三の枠で呼んでもらったのだと思っている
ソニーでもニフティでもないので)。


未来の家を実現する舞台として、
すでに完売した豪華なマンションのモデルルームが使われて、
非日常的な空間にいるだけで、刺激的だった。
f:id:shiinaneko:20150201153228j:plain
f:id:shiinaneko:20150201153232j:plain
1日目の午前中は、アイデアを出すフェーズで、
3タイプのモデルルーム(ファミリー、シンプルな夫婦、大金持ち)を
ぐるぐる見てまわり、課題抽出をしてハチノスシートに書いた。
参加者同士で話をしているうちに、アイデアがまとまって、
それぞれ2、3枚アイデアを紙に書いて壁に張り出す。
100枚ほどのアイデアのうち、いいと思ったものに星を付け、
星の数で10個のアイデアに絞られる。
絞られた案を出した人は、簡単な発表をして、
その内容に共感して一緒に作りたいと思ったところへ集まって、
10のチームができあがった。


ぼくの出したアイデアも、10のうちの1つに選ばれたのだけど、
チームに来てくれたのは2人で、全チームの中で最少人数だった。
イデアのよさとぼくの不気味さが打ち消しあった結果だと思う
(運営者の方は「3人がちょうどいいですよ」と言っていた)。
f:id:shiinaneko:20150201155128j:plain
メンバーは、ニフティのNさんとEさんで2人は同期だそうで、
ぼくは8つほど年上だったのだけど、同い年くらいかと思いました
と言われて気分をよくしました。ありがとうございます。
f:id:shiinaneko:20150201155129j:plain
ここからぶっ続けで開発をはじめて、議論をして、
2日目も朝10時からあって、16時まで開発をした。
技術的なところは、MESHからデータを取ってアップするのをNさん、
データをサーバーに入れて分岐させるところをEさん、
値から音楽を再生するのをぼくが担当した。
発表の1時間前までうまく動かなくて焦ったのだけど、
なんとか動作するものが完成したのだった。


当初のアイデアは、置いた場所の空気
(センサーで取った温度や湿度、周囲の騒がしさや振動、
位置などから分析する)を読んで、その場にふさわしい音楽を
自動で流すスピーカーを作るというものだったのだけど、
話し合いを経て、スピーカーを「スリッパ」に変更して、
センサーで取るものは、足元の動きに絞ることにした。
人間の感情は足元に出るし、とりあえず足の動きで十分だと。
フロイトもこう書いているし。

眼で見、耳で聴くことのできる者なら、
人間には秘密などもちえないといっても納得できるだろう。
口が黙していることでも、指先がしゃべってしまうのだ。

それで、空気を読んで音楽を奏でるスリッパということで、
「ミュージッパ」と命名した。
f:id:shiinaneko:20150201153233j:plain
そして発表。ぼくらは2番目に発表をした。
NさんとEさんが2人とも「発表したいです!」というので、
発表をお任せして、ぼくはミュージッパを実演することにした。
1階の発表会場から、2階のモデルルームへ中継をつないで、
ぼくは2階でミュージッパを履いて出番を待った
(下で何が行われているのかはわからない)。
あらかじめ決めておいた筋書きは、
Eさんがぼくのケータイに電話して吉報を伝えるので、
それを聞いたぼくが大喜びするとミュージッパが明るい音楽を出し、
しばらく喜びまくってベットに倒れこむと、
音楽がフェードアウトして消えるという内容。
その通りやって終わったと思ったら、再び連絡があり、
「しーなさんの動きがおもしろいのでもう1回お願いします」
と動きにアンコールがあって、2回やった。


結果、入賞はしかなったのだけど、
最後の総評で、審査員のギズモード編集長の尾田さんが、
ミュージッパを気に入ってくださって、
「ギズモード賞あげます」といきなりおっしゃって、
急遽、ギズモード賞と、ギズモードTシャツをいただいた。
とてもうれしかった。「いい動きでしたね!」と、
再び動きについて評価をいただいたのだけど、
自分がどんな動きになっていたのか、自分で見れていない。
それと審査員のDPZの林さんからも、
「ここ(1階)にいて、離れたところにいるしーなさんが、
いま何しているのかがわかるのが不気味ですね」という
コメントをいただいたのがうれしかった
(「便利」とかでなく「不気味」というところがよかった)。
f:id:shiinaneko:20150201153230j:plainf:id:shiinaneko:20150201153234j:plain
優勝は「仮面ライダーMESH」だった。
ソニーの人もニフティの人も、みんな素敵な人たちで感動した。
とても勉強になったけど、超つかれたので、
半年に1回くらいでいいと思った。
イベントの様子が、ニュースサイトなどにありました。

1月30日

文芸漫談に行った。北沢タウンホール
今回のテーマはウラジミール・ナボコフの「ロリータ」。
奥泉光さんと、いとうせいこうさんが語る。
あらかじめ「ロリータ」を読んだのだけど、
長いし、内容が内容だけに、うわーとへこんだりもしたけど、
文章がおもしろく、展開も次から次へと、
飽きないように進んでいくので、最後まで読んだ。
漫談で、「ロリータ」という作品の社会的な背景や、
ハンバート・ハンバートという主人公の名前からしての
反復の連続だったり、様々な仕掛けが、
細部にまで組み込まれていることがよくわかった。
最初に出てくるアナベルとの関係、最初に結婚したヴァレリア、
ロリータの母ヘイズとの関係、ロリータとの関係、リタとの関係が、
反復で、最後にロリータが大人になってニンフェットでなくなっての
ハンバート・ハンバートの語りで、反復から抜けたというのは、
なるほどと思った。

高い崖からその音楽的な振動に耳を傾け、
控えめなつぶやき声を背景にして
個々の叫び声が燦めくのに耳を傾けていると、
私にはようやくわかった。
絶望的なまでに痛ましいのは、
私のそばにロリータがいないことではなく、
彼女の声がその和音に加わっていないことなのだと。

なんじゃこれ的に爆笑が起こるところも多々あって、
あらためて鑑賞すると、やっぱりおもしろいなあと思った。
ホールを出て、一緒に行ったYさんと、
文芸漫談後に3回連続で行ってる居酒屋に入って、
刺身と、ビール日本酒を飲んで帰った。


年末年始、書ききれていないのだけど、
歌人の伊波さんと上大岡で飲んだり、
川崎の商品開発研究会の新年会があったり、
たのしいことばかりだった。