小説集『突き抜け』のご購入はこちらから。



「よろこびすぎず、かなしみすぎず」

なんだか涙ぐむことが多い、どうしたのでしょう。
昨日、雨上がりの夕方に散歩して、三角広場という、
公務員住宅の地域内にある公園に出たとき、
おばあさんと小さな女の子が手をつないで歩いているのが見えて、
目頭が熱くなりました。


小学生の女の子の姉妹が一生懸命遊んでいて、
下の妹が「おねえちゃん!」と大きな声で、
お姉ちゃんを呼んだ声に、ハッとして鼻の奥がつんとして、
慌ててその場を通り過ぎました。


その「おねえちゃん」と「いもうと」という関係というか、
妹にとっては、お姉ちゃんは、本当に唯一のお姉ちゃんであって、
この先もずっとお姉ちゃんと妹なんだなあと思うと、
そしてお姉ちゃんは妹の世話をするし、ケンカもするだろうし、
いつか年をとって別れる時が必ずやってくるし、
当たり前のことなのですが、
そういう時間の流れのほんの一部が、
僕の目を覚まさせるような鮮やかさで、
一気に飛び込んでくるので、うろたえるのです。


歩いていても、音楽を聴いて涙が出そうになりますし、
この時は外国のきれいな合唱曲で、
声から生のエネルギーが伝わってきて、
ものすごい多幸感に、どうしたものかと思いました。
多幸感があると、時間を置いて、逆もまたあるのでして、
「よろこびすぎず、かなしみすぎず」
がいちばんいい状態なんだと思います。