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「立喰師列伝」見ました。

押井守監督の「立喰師列伝」がDVDになっていたので、
借りて見ました。


立喰師という架空の職業のプロフェッショナルたちの
生き様をドキュメンタリータッチで描くという形式の
アニメーションでした。
とにかく、まず映像が不思議で、実写だけど紙みたいに動いて、
すごい技術を駆使して、わざと安っぽくやるところが、
独特で斬新だと思いました。見たことのない映像でした。
そんなテーストで、意味不明なストーリーが進むので、
「なんなんだこれは」
で頭がいっぱいになりました。


出だしから押井守的な難しい語りがずっと続いて、
どういう見方をしてよいのか分からなかったのですが、
根底はバカバカしいのですが、戦後から今にかけての
立喰師の変遷みたいなものを、実にそれらしく、
時代の問題点と対比させて詳細に説明してくるので、
NHKアーカイブを見ているような気になってくるからすごいのです。
これがまた、押井守監督の虚構と現実の多重構造なのですね。
たまりません。


作中でいろいろな書籍が引用されるのですが、
ほとんどが架空の本なのですが、たまに本物の本があって、
吉本隆明氏の詩からの引用で、

おう きみの喪失の感覚は 全世界的なものだ
きみはその ちひさな腕で ひとりの女をではなく
ほんたうは屈辱に沈んだ風景を抱くことができるか


という文が絶妙なタイミングで
黒のバックに白い明朝体だけで浮かんできたら、
意味は分かりませんが、がつーんときました。


とにかく印象的ですごい作品でした。
でもおもしろいと言う人はあまりいないような気がします。