独り言

自分が独り言を呟いていることに気づいて、
唖然としました。


「なるほど」とか「そうか」と、
自分にしか聞き取れないくらいの、息のような声で呟いていて、
これくらいならセーフだと思っていたのですが、
この前、図書館に行ったら閉館していて、


「5時で閉まるのか……」


と口に出たときは、これはまずいなと思いました。
独り言が少しずつ長くなってきているのです。
うちの父はずっと独り言を言っている人なので、
ああならないようにしようと、
独り言に気をつけていたのです。


今日、買い物でレジに並んでいたとき、
僕の前に、おばさんが突然割り込んできて、
鼻先におばさんの頭が急接近したのです。
僕は日ごろから、
「女の人の髪の分け目の匂いが好きなんです」
と公言し、少し離れた所からでも
嗅ぎ取る嗅覚を備えているのですが、
おばさんの頭の匂いは好きではなく(人によりますが)、
しかも突然鼻先に現れたので、いくら風邪で鼻が詰まっていても、
完全なおばさんの匂いを大量に吸い込んで、


「くさいおばさんだ」


と思ったのですが、
それが独り言で口に出てました。
幸い、僕の声が小さかったので、
「くさいおばさんだ」と呟いたことには、
気づかれませんでしたが、
声が大きかったらまずかったです。