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私に抽選券をください!

納品物を急いで発送するときに、
バイク便を利用させてもらっているのですが、
最近、バイク便会社の10周年か何かで、
配達をお願いすると、金額に応じた枚数の抽選券をくれるのです。


その抽選券を、後輩のamaくんとスクラッチして、
当選していないかを確認するのが、
我が人生における唯一最大の光でありますため、
バイク便の必要が生じると、心の中で
「抽選券がもらえる」
と呟き、壁の方を向いて密かに笑っていたのです。


本日もバイク便に電話をしました。
先日もらった抽選券は3枚でしたが、今回は3倍くらい距離があるので、


こりゃあ場合によっちゃあ10枚イクんじゃねえか!?


と、よだれを出しつつも、抽選券を多く引き出そうと、
村でこさえたわらじを町の商人に少しでも
高値で引き取ってもらおうとする百姓のじじいの物腰で、
バイク便の兄さんに荷物を渡しました。
兄さんは伝票に数字を書き込み、控えをビリッと破ると、
ウエストポーチに手を入れました。


さあ、早く!そのポーチの中から!ワシに抽選券を!
そのポーチの中から、ワシの抽選券の束を。


ワクワクテカテカしていたら、
「配達が完了しましたら、しーなさん宛てにお電話します」
と言ってそのまま出て行ってしまいました。
どうやらプレゼント期間は終了した模様でした。


お客様控えのペラペラなカーボン紙を手に、
寒風吹きすさぶ通用口で立ち尽くしました。
俗に言う「この世の終わり」です。