小説集『突き抜け』のご購入はこちらから。



呪い

日曜の晩に、寝ようかなと布団に入ったら、
スイッチがONになったかのように、急に寒気がしてきて、
熱を測ると38℃を超えていました。
おまけに腸がぎゅるぎゅる鳴って、吐き気がして、
目が回って、うなされて眠れなくなりました。


月曜になっても一向に熱が引かず、全身の水分が抜けて、
怠くて立ち上がるのもやっとだったのですが、
クルマで診療所へ送ってもらいました。


症状を説明すると、お腹に菌が入ったようであると診断され、
「そういえば、金曜の晩に牡蠣を食べました」
と言うと、それが原因かもしれないということでした。


熱が下がらずにうなされながら、丸1日横になっている間、
熱くなったり寒くなったり、頭がぐるぐる混乱して、
寝てることの意味が分からなくなりました。
何で寝てるのだろう、寝るって何だろう、
どうしたら寝るを完成させられるのだろう。


それから夢のようなのを見ました。
世の中の苦しい気持ちの断片を持った影が僕のところにやって来て、
僕から出る熱で、その苦しい気持ちを焼いて影ごと消えるのです。
そういうのが大小何百と現れては消えていきました。


自分が外に向かって放出した悪の付けを払わされているような、
これは間違いなく天罰だと思いました。外が辛いというのは、
僕がこのように熱を持って辛いことと等しいのだ、
自分の幸せは外の幸せなくして成り立たないし、
内も外もないんだ、ごめんなさい!と
どっかへ向かって祈りたくなりました。


火曜の明け方、呪いが解けたように体が軽くなって、
体温を測ると37℃に下がっていました。
何か僕の中で固まっていたわるいものが熱で溶けたようです。
呪いだったのかノロウィルスだったのかわかりませんが、
たまに高熱が出るのは良いことだと思いました。
体重が2.5キロ減りました。