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はにこさん、帰る。

はにこさんと、今日も会うことになって、
午前11時に、はにこさんが宿泊したホテルへ迎えに行きました。


三谷幸喜の「ザ・マジックアワ−」を見たかったので、
チケットを2枚買って、みなとみらいの
ワーナー・マイカル・シネマズ」へ行きました。
映画館に向かう途中、うちの家人が「インディージョーンズ」を
同じ映画館に見に行っていることを思い出し、
「僕が家人を見つけたら、つないでいる手を離しませんか」
と言って、SPのように百メートル先や周辺を
警戒しながら歩きました。家人とのコンタクトはありませんでした。
映画は最高に楽しく、僕はげらげら笑いました。
はにこさんは僕の様子を見て、
「しーなさん、こんなに笑うんだ」
と思ったそうです。


映画の前にトイレに行ったのですが、
いつも行っているトイレの位置が分からなくなりました。
これは、はにこさんが僕の手を持つので、
気が動転して方向感覚がなくなったためです。


はにこさんから、重大発表があるということになり、
「それは何ですか?」と問うと、
実は、はにこさんは新幹線ではなく、
高速バスに乗ってやって来ていたということを明らかにしました。
ええー!ということは、昨日は午前5時半に
横浜に着いていたのです。そして、新幹線の停車駅である
新横浜までわざわざ移動して、僕を待っていたのです。
僕が「高速バスは深夜に走るから危ない」とか、
「朝、早すぎて店がやっていない」と言ったので、
気を遣って新幹線で来たフリをしていたのです。


なんて!健気な人なのだ!





昨日から

ずっと桜木町にいるので、
「別のところへ行きましょう」ということになり、
美術館がいいと思って、上野へ行きました。
今思うと、上野じゃなくても、あちこちに美術館はありました。
なぜこんな短絡的な発想になったかというと、
路線図を眺めているときに、はにこさんがイチャイチャするので、
気が動転して、「美術館」→「上野」という
単純なアイデアしか出なくなっていたためです。


しかしながら、国立科学博物館では、前から見たかった、
「ダーウィン展」が開催されていて、非常に楽しかったです。
ダーウィンの人間像について、手紙等でたくさん紹介されていて、
僕はダーウィンは「水瓶座」じゃないだろうかと思ったのですが、
今、調べたら1809年2月12日生まれの「水瓶座」でした。
どう考えても、水瓶座だよなあ。


それから、はにこさんがラーメンを食べたい
というのでラーメンを食べ、アメ横を通り抜け、
御徒町まで歩きました。
それから、またどうしてよいか分からなくなり、
しばらく呆然としました。



東京だから

「東京タワー」へ行くということになって、
東京タワーを目指しました。
電車で移動して、改札を出て、周辺地図を見たのですが、
東京タワーどころか、タワーらしいものが1本もなく、
「あれ?」と思って、駅の外へ出て周囲を見回しても、
あんな目立つタワーが見つかりませんでした。
携帯で東京タワーの最寄り駅を見ると
「赤羽橋」とありました。我々は、




「赤羽」に来てました。




「おいおい、そりゃないだろう」
と思われるかもしれません。僕も思います。
赤羽に「東京タワー」があるわけないじゃないですか。
なんでこんな間違いをしたかについて、
弁明させていただくと、御徒町駅で、
携帯を使って東京タワーの最寄駅を探しているときに、
はにこさんがイチャイチャして、僕の頬を
おもしろがって突付いたりしたので、気が動転して、
方向感覚がなくなったためです。
正常な状態なら、こんなミスはありませんでした。
赤羽とは、我ながら信じられん。


はにこさんは帰りも高速バスで帰ることになっていました。
ちょうどよいことに、赤羽から横浜までは、
湘南新宿ラインで1本で行けました。
高速バスの発車は、夜の11時でしたので、
それまで喫茶店に入ったりして、待ちました。
バスが到着して、はにこさんはバスに乗って帰りました。



2日間

長時間、過ごしましたので、大変疲れましたが、
はにこさんの方が移動の量が多いので、もっと疲れたはずなので、
はにこさんはすごいと思いました。
好きという感情がまだよく分からないのですが、
前にお会いしたときより、ずっと身近になりました。
それに楽しかったです。


バス乗り場から離れて、店のシャッターがすべて下りて、
静まり返った地下街を歩いているときに、
ふと「はにこさん、帰っちゃったな」と思って、
なんだか寂しくなりました。