「あなたがここにいて欲しい」ツアー in 小田原

小説家の中村航さんのイベントで知り合った、
春昆布さん、イソイソさん、
そして最近、中村航さんの作品を読み始めた、ひのじさんとで、
「あなたがここにいて欲しい」ツアーをしました。


あなたがここにいて欲しい

あなたがここにいて欲しい



「あなたがここにいて欲しい」ツアーとは何かというと、
中村航さんの『あなたがここにいて欲しい』という、
素敵な小説があるのですが、その中に出てくる
スポットを実際に訪れて



「ああぁ、そうか、ここが。なるほど」




作品世界に浸ろうというツアーです。
小説の舞台は小田原で、小田原に詳しい春昆布さんが、
この企画を考えてスポットを案内してくれました。



今日の日記は、『あなたがここにいて欲しい』(以下、「あなここ」)を
読んだことない方には、何のことか分からないと思いますが、
雰囲気を感じてもらえればと思います。



12:00「しのび屋」

小田原から数駅のところで、12時前に待ち合わせ、
まず最初に向かったのは、作品の中で「又野君」という
人物がやっている料理屋「しのび屋」です。


カウンター席に4人で座って、
又野さんにお寿司を握ってもらいつつ、いろんなお話を伺いました。
又野さんは、「あなここ」についての裏話的なことや、
江戸前の寿司についてや、日本各地の食文化や、
小田原について、料理人について、ヤンキーについて、
始めから終わりまで僕らの相手をして、聞かせて下さいました。


そして、とにかくお寿司がうまくてうまくて
大袈裟でなく、気が遠くなって宇宙に行って帰ってくる
ような感動がありました。



お皿の上に、ひとつひとつ。
どのお寿司も一球入魂という感じで繰り出されて、
そのどれもが又野さんの作品なんだなと思いました。


食後に、「ヤンキーとファンシー」の話になり、
それは芸術と生活のような、対立する関係なのでしょうか、
と伺ったところ、又野さんはメモ用紙を1枚取って、
左下と右上にヤンキーとファンシーがあって、
それらは1枚のフィールド上にある
それを懐に入れてしまえばいいとおっしゃって、
メモ用紙を懐にしまう仕草をして見せてくれました。
僕は目から鱗が落ちました。


振り子のようになっていて、右が宇宙、左が生活で、
右にいる時は左の良さ・悪さが分かるし、
左にいる時はその逆で、常に行き来していると、
そして、その振り幅がどんどん広がっていくと、




回転を始める




ということで、なるほどなあと思いました。
そのことが聞けただけで、来てよかったと思いました。
そして皆、又野さんのファンになっていました。


舌も心も充分に満足したため、
「今回のツアー、ここでもう終わってもいいのでは」
と春昆布さんと話したくらいです。ビールも飲みましたし。



14:30「電柱」

お店を出て、次に向かったのは、
小説の主人公の吉田くんが、身を隠した電柱です。



この辺りだろうと思って予想して行ったのですが、
電柱がたくさんあって、どの電柱に吉田くんが隠れたのか
分かりませんでしたが、とにかく、僕らも隠れました。



しーなねこが隠れる。



春昆布さんも隠れる。



16:00「小田原城」


「あなここ」といえば、小田原城。
主人公の吉田くんは、ここ城址公園で
ゾウのウメ子を眺めながら、小田原の人は皆知っているという
「守谷のあんパン」を食べるのです。
で、僕らもそれをしようということになっていたのですが、


ゾウのウメ子は、





営業を終了していました。




そして、守谷のあんパンは、春昆布さんが
あらかじめ買って用意してくれていたのですが、
本日、春昆布さんは、あんパンを冷蔵庫に入れっぱなしにして、
忘れてきていたのでした。



まあ、それにしても暑くて大変
(サルが上の写真のような格好で寝ているくらい)なので、
ベンチに座って、本日2杯目のビールを飲みました。



ゾウ舎の裏に行くと、ウメ子は食事中のようで、
様子を見ることができました。もっと長生きしてください。




城址公園の居心地のよさは異常で、
2時間くらい、のんびり、ビールを飲みながら、
小説について話したり、近寄ってきた女の子と遊んだりしました。




18:30「大雄山線」


城址公園に、僕らと、ベンチで寝てるおじさんだけに
なったようだったので、小田原駅へ向かいました。
大雄山線に乗るのです。これも主人公の吉田くんが乗っていて、
橙色の太陽が沈むのを見るのです。だから僕らも見るのです。



ガタン、ゴトン。窓の外が金色です。




緑町で降りて、小田原駅まで歩きました。
きれいな夕焼けを見れました。



19:00「守谷のパン」


最後に、「守谷のパン」の店頭に立ちました。
日曜日は定休日なのだそうです。


守谷のパンは、固くて重いことでお馴染みのようなので、
きっと今頃、春昆布さんの家の冷蔵庫の中では、
より硬度を増して、カッチカチになっているだろうな
と思いました。


最後に、また、皆でビールなどを飲んで帰りました。
春昆布さん、案内ありがとうございました。
ひのじさんも、イソイソさんも、ありがとうございました。
すごく楽しかったです。
また遊びましょう。




お土産はもちろん、「鈴廣の蒲鉾」。