「リアル桃鉄2009」その6

13:52 神田(佐倉まで、あと14駅)


カードは、僕が引いて、

ポケモンスタンプラリーカード」
ポケモンスタンプラリーのスタンプを押す。
見つからない場合は、駅員さんに聞く。


hassyさんが、もっともイヤがっていたカードを出してしまいました。
僕からすると、知らない人に「握手させてください」と言う、
「ちえりんカード」の方が、数倍イヤなのですが、
価値観の違いということろでしょうか。


なぜ、そんなにイヤなのかを聞くと、
今日は8月29日なのですが、
ポケモンスタンプラリーは、8月9日(日)をもって、




終了していることを知っている




とのことでした。
これが世に言う「乙女心」かと思いましたが、
違うかもしれません。
さあ、20日間のタイムラグを開けての、




ポケモンスタンプラリーはどこですか?」




という質問は、一体どんなことに発展していくのだろうか。




「がんばれ、hassy!がんばれ、hassy!」




と、hassyさんは自らを奮い立たせて、
駅員さんの所に行きました。



駅員さんより、




「もう撤去されました」




という回答を頂きました。




「ですよねえ」




お忙しいところ失礼しました。




14:19 馬喰町(佐倉まで、あと11駅)


カードは、hassyさんが引いて、

「ぶらり途中下車カード」
現在、移動中のチームは最寄りの駅で途中下車をする。


これが見事に、
他のプレイヤーたちの足止めに成功しました。
すんでのところで、
「さえカード(ペア同士でハグして頬にキスし、その姿を写真に納める)」
が出そうになっていたので、ホッとしたような、
これをしたら、




一線を越てしまうのではないか




という、ゾクゾク感がチーム内に漂いました。
ツンデレ風に言えば、




「べ、別に、残念だったとか、思ってないんだからねっ!」




サイコロは、




14:51 船橋(佐倉まで、あと7駅)


カードを引こうとした時でした。
ゲームマスターから連絡。

「ごんぶとチャイニーズ」が目的地到着です。
それぞれ現在地をお願いします。


やられた!




まあ、得点ではまだ2位ですから、
ビリになることはないでしょう。
などと言いつつ、hassyさんが持参してくれた
高級ビーフジャーキーをかじって、しばらく休憩。



いや、ちょっと待てよ。
得点でビリにならなくても、貧乏神Tシャツの可能性があるぞ。
僕らは、「佐倉」から結構離れている。
もしかすると、もしかする。イヤな予感。
すると、ゲームマスターから連絡。

貧乏神はこちらの方々です。


ダブルボンビー(2人とも着用)
チーム「コトブキノウエ」


シングルボンビー(1人だけ着用)
チーム「ねことくのいち」


次の目的地は「東大宮」です。
あと3時間頑張っていきましょう。


あわわわわ、ついにこの時が来てしまった。
ビリから2番目だったので、僕かhassyさんの
どちらかが貧乏神Tシャツを着ることに。
「番田」に着いたときに、密告した報いか。




大変なことになりました。




ペアで変な格好をしていれば、一応、ペアルックですし、
「ああ、何かのイベントなんだな」みたいに見えますけど、
片方というのは、いろんな面で、かなり厳しいものがあります。
仲間割れの原因にもなりかねない。


そして問題は、どちらが着るかということです。




「ここは男らしく、しーなが着てあげるべきだ」




と言われることを覚悟の上、
公平に、サイコロで決めることにしました。




数が少なかった方が着ます。




本日、いちばんの緊張感であります。



hassyさん:


しーなねこ:(MAX!)


「くノ一」と名乗るだけあって、
普段からシックな装いのhassyさん。
さえさんが作ったヒラヒラの貧乏神Tシャツを手に持ち、





「こんなヒラヒラとか水玉、着たことないわーー」




それでは、ご覧ください。


























もともと穿いていた黒ズボンと、奇跡のマッチング。
あれ?何かに似ています。そうだ、ミニーマウス。




「貧乏なミニーマウス」の誕生です!





チャーン!と言ってポーズを決めるhassyさん。



チャーン!チャーン!


ちょっとパニック気味のhassyさん。


hassy「あ、『アド街』っぽくしますか?」
しーな「(アド街ガールズコレクションに)そういうのいないと思います」




hassyさん、完全崩壊。








15:42 錦糸町(東大宮まで、あと12駅)


hassy様が、あんなことになってしまわれたので、
僕が心を強く持って、目的地まで引っ張っていかなくてはなりません。
hassy様は、方向感覚や時間感覚が、フワーッとなって、




「あれ?今、私たちどこの駅でしたっけ?」




というようなことをおっしゃってます。
恐ろしすぎる、貧乏神Tシャツの破壊力。
一刻も早く「特急カード(サイコロを3個振れる)」などの
進行系カードを出して、窮地を抜け出したい。


その願いをこめて、僕が引いたカードは、

「でんぐり返しカード」
サイコロを振って出た目の数だけ、駅付近ででんぐり返しをする。


やるのは、hassyさん。




「す、すみません!!」




とっさに謝ってしまいました。




「もうっ!しーなくんったら!!」




と、hassyさんは笑いながら言いましたが、




目の奥は笑っていませんでした。



このままでは、毒の吹き矢で仕留められる。
震える手で、でんぐり返しの回数を決めるサイコロを転がす。
なんとか「2」に抑えることに成功。



「いきまーす!」



ごろん!ごろん!


あわわわわ、僕は今、絶対に、




見てはいけないものを、見ている。




変な格好の女子が、ホームででんぐり返し。
誰がこんな状況を予想できたでしょう。
hassyさんのアクションを見ていたら、全体の服装と合わさって、
本物の「くノ一」みたいに見えてきました。




ここは日光江戸村か?




油断すると、そんな幻想に取り付かれるくらい、
危険な空気が、ここ「錦糸町」に充満していました。
そして、なす術なく、何の傷も負わずにカメラを回し続ける僕。
従軍カメラマンの気持ちとは、こういうものかと思いました。
違うかもしれません。



ゲームマスターより、目的地変更カードで、
目的地が「東所沢」になったことが、
告げられました。
「東大宮」が「東所沢」になった。
その程度の違い、今の僕らのリアルに比べたら、
無に等しかったです。




16:13 四ツ谷(東所沢まで、あと16駅)


サイコロで決めたとはいえ、貧乏神Tシャツを着させて、
ホームででんぐり返しまでさせてしまって、
僕はもう、自責の念に耐えられなくなりました。
だから、勇気をだして、こう言いました。




「hassyさん、ここからは僕が着ます」




僕に渡されている貧乏神Tシャツは、イッセイ氏が作成したもの。
イッセイ氏デザインのシャツといっても、
決して、イッセイミヤケではない。イガラシイッセイです。
裾に5個の鈴、両肩にゴム手袋が縫い付けられたノースリーブという、
変性意識でないとおよそ作り得ないような代物です。


Tシャツを持って、駅のトイレの個室に駆け込みました。
シャツを取り出すと、鈴の音が結構大きく、




シャン!シャン!シャン!




トイレ全体に響きました。
その時でした。
カメラの三脚を入れていた付属の袋が、
シャツを取り出した勢いで、リュックから飛び出し、
和式便器の中に、




ホールインワン




しました。
「うわわわわ」と慌てて引っ張り上げましたが、
これはもう使えないと、備え付けのゴミ箱に入れました。
恐るべし、貧乏神Tシャツの力。


着替えを終えて、トイレから出る。
一歩踏み出すたびに、鈴の音が鳴る。
さっそく、洗面台にいた若者にギョッとされる。
早くhassyさんのいる所に戻りたい。
助けて!と小走りに構内を走ると、




シャン!シャン!シャン!シャン!




急ぐほど目立つ、目立つから急ぎたい。このジレンマ。
忍び足で急ぎました。
そして、hassyさんの待つホームへ。



シャリン!

シャリン!

シャリン!


「これは、ないわあ。肩涼しいし」


さんざん、hassyさんに笑われて、
その後、起死回生を狙って、僕が引いたカードは、

「リセットカード」
スタート地点に戻る。


スタート地点、すなわち「品川」まで戻ることに。
完全に流れが悪い方に傾いてきました。
というか、


この格好で、山手線に乗るのか。



16:50 品川(東所沢まで、あと18駅)


「品川」に戻る最中、向かいに、
女子中学生のグループが座っていたのですが、
そのうちの1人の子のツボに完全にはまったのか、
爆笑されました。




満点大笑いでーす。




こらえきれずに、タオルで顔を隠して、
肩を震わせていたので、よほどのことです。
「箸が転げても可笑しい年頃」とは言いますが、
箸が転げるどころではないことが、起きていますし、
ちくわの首飾りしてるし。



こわいわー。隣空いてても、座りたくないわー。






17:15 秋葉原(東所沢まで、あと14駅)


秋葉原には変わった人が多いから、
結構、コスプレ感覚で馴染んだりするのではと思いましたが、



こんなコスチュームのアニメはない。


宇宙船サジタリウス」にこんな乗組員が、
いたような気がする。いや、絶対いないな。


カードは、

「急行カード」
次の移動時にサイコロを2個振ることができる。


これは助かります。
終了時間までもうすぐですが、なるべく目的地に近づいておかないと、
最後の得点計算で逆転される可能性があります。
とにかく進みましょう!


 




急行の意味、あんまりなし。



17:30 上野


最後の最後まで粘って、
「上野」で湘南新宿ラインの「大宮」行に乗ろうと、
だだっ広い上野駅内を、汗だくになって、全力で走りました。


もう恐いものは何もありませんでした。
なぜなら、この時の僕が、上野駅の中で、




かなり恐い人




にランクインしていたと思うからです。
シャン!シャン!シャン!シャン!と、




「サンタが殺しにやってくる」




ような形相で走ってやりました。
それをhassyさんが追いかける。
そして、電車に乗り込もうとした時、
ゲームマスターから連絡。




ゲームが終了しました。




はぁーーーーー、と大きく息をついて、




今年もよく戦った



と、不思議な達成感に包まれました。
hassyさんには、本当に助けられました。
そして、大変な目にあわせてすみませんでした。



この後、

目黒に全チームが終結して、打ち上げをしました。
ビールを飲んで、この日に起こった出来事についてや、
結果発表や、貧乏神Tシャツファッションショー的なことで、
大いに盛り上がりました。


ゲームの最終結果ですが、
「ねことくノ一」はビリになりませんでした。
あー、よかった。本当によかった!!


打ち上げ後、花火をしました。
その後、hassyさんは、




「明日、スカイダイビングなんで」




と言って深夜に、颯爽と帰って行きました。
僕の中で、忍者ハットリくんが、
風呂敷をパラシュートにして飛ぶように、
くノ一姿のhassyさんが、風呂敷で空を飛んでいる様子が、
目に浮かびました。





集合写真。



くノ一

hassyさんのレポートはこちらです。