小説集『突き抜け』のご購入はこちらから。



「ウィリアム害虫駆除野郎」を観た。

「ウィリアム害虫駆除野郎」という演劇を観ました。
場所は森下スタジオで、十九時開演でした。



会社の同僚のmegさんが、
作・演出の戌井昭人さんと関係があるようで、
戌井さんの「鉄割アルバトロスケット」という
劇団のことを教えて頂いてから興味を持っていたのです。


劇の内容は全体的に意味が分からないのですが、
僕は何度も吹き出して、ずっと笑っていました。
舞台は近未来で、害虫駆除の二人が、
害虫駆除の粉を吸いすぎてどんどん頭が
わるくなっていきました。
舞台や衣装はすべてダンボールや銀紙とかを使ってあり、
お金をかけていない手作り感がありました。
マジックで小さい窓がたくさん描かれた
ダンボールが高く積まれている様子は、
どんなにお金をかけて作ったセットよりも、
観客の脳内では、近未来の超高層ビルなのでした。


台詞も動きも設定もぜんぶおかしかったです。
タバコのマルボロの箱の中にチャーハンが
詰まっているのが未来人のお弁当のようです。
ちょうど戌井昭人さんの『まずいスープ』という小説を
読み終わったところだったので、本の台詞はなるほど、
生で聞くとこういうニュアンスになるのかと思いました。


あとよかったのは、森下スタジオが広かったことです。
お芝居に行くとよく席にぎゅうぎゅう詰めにされて、
暗いしで、軽い閉所恐怖気味になるのですが、
この公演では体育館みたいなところに、
座布団が置いてあって広々していました。
そういうのもあってハイレベルな学芸会のような、
狂気なのですが、ほのぼのした気持ちになりました。
すごく楽しかったです。



最近思ったのは、

政府への批判がすごく強まっていて、
「政府よくないな」と思ったのですが、
いや、その政府を選ぶような世論を作ったのは、
マスメディアなので、やっぱり
「マスメディアよくないな」
と思ったのですが、いやマスメディアの誘導に
安易に乗ってしまった大勢の人々に問題があるのでは
ということで、
「大勢の人々よくないな」と思ったのですが、
やはり政府もマスメディアも人々も
全体的にレベルが低いのがよくないのだ
という結論に至りました。


何のレベルかというと、
情報を発信する側と受信する側の両方の
メディアリテラシーのレベルです。
メディアリテラシーとは次のようなことです。

情報メディアを主体的に読み解いて必要な情報を引き出し、
その真偽を見抜き、活用する能力のこと。


いまはUSTREAMで記者会見の様子を生で見ることができ、
ジャーナリストたちのTwitter上でのつぶやきや、
ブログなども無数にあるので、
それらと従来のテレビや新聞等の情報も総合して、
いろいろ足し算引き算したりフィルタリングして、
解釈する必要があって、それをする能力が
ネットが広がっていくと必要不可欠になるのですね。


テレビの報道だけを見ていると、
いかに偏っているかがよく分かりますし、
さまざまな色を付けて世論を操作しようとしていて、
そうなると、少しでもアンテナの感度が高い世代なら、
こんな情報からは離れて行くのも当然だと思いました。
そもそも一億人以上の人々が、十数個のチャンネルの
どれかを数百万人単位で見るというのは、
普通に考えて異常だよなあと思うのです。



話がそれましたが、

メディアリテラシーのレベルに限らず、
何か弱いものを強くするためには、
強い負荷や逆境を与えて鍛えるようなことをしますが、
きっと、メディアリテラシーの弱い日本人たちを、
政府やマスメディアや国民すべてひっくるめて、
いったん辛い目に合わせることで、
「ああ、メディアリテラシーを強くしなきゃ」
と心底分からせて、自発的にそういう視座を得て、
レベルアップしていくようにするための
ダイナミクスの中の過程なのではないか
と想像したりしました。
これを乗り越えて全体が賢くなったら、
自然に政治もよくなるのではないでしょうか。


そういう試練の波が、世界中に
順々に広がっているように思います。
でも何というか、この試練の熾烈さに
ほとんどの人が乗り越えることなく波に飲まれて、
日本はこのまま終わって、一部の賢い人は、
こういう力学をぎりぎりまで利用して大金を搾り取って、
中国とかに脱出するのではないかという
気もしないでもありません。