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こわいことなど。あと、うどん食べて運動した。

七時に会社を出て横浜方面の京浜東北線に、
十歩くらい足りず乗れなかった。ホームに出たところで、
この時間帯にしては空いている車両を見送った。
風があって寒い。次に来た電車はとても混んでいた。
さっきの電車の空き具合を思い返したりした。


横浜で乗り換える時にも、乗換えでずいぶん待った。
一本前のに乗っていたら、この待ち時間はいらなかっただろうな
と思うと、小さなミスが大きなロスになっていると感じた。
横須賀線に乗って戸塚に着く手前、電車が急停車した。
これまでに何度か急停車を経験していたけど、
今回はずいぶん長くブレーキが掛けられ、
完全に止まったときの反動も大きかった。


いやな予感がした。ら、この電車が
踏み切りで人身事故を起こしたというアナウンスがあった。
事故にあった人はどうなったのだろうか。
僕のいる車両は最後尾だったので現場の様子はわからない。
同じ車両の端の方で若い男が「ふざけんなよー」と
言ってるのが耳に入ったり、正面横に座っていた中年の男が、
大きな溜め息をついて、不機嫌そうに貧乏揺すりをしながら、
携帯でメールを作り始めた。


なんだか事故のこわさよりも、
自分にとって不快なことが起こったら、
それに対して、感情を抑制できずに、
「ふざけんなよー」と言ったり、不機嫌な態度をして、
周囲をぴりぴりさせる人たちと同じ鉄の檻の中にいる、
ということの方がこわかった。


僕は小説教室でもらった課題がプリントされた
紙の束にずっと視線を落として、音楽を聴いていた。
三十分くらいだろうか、それくらいで動き出し、
ホームに停車して、何事もなかったかのように、
いつも通り皆電車を降りて行った。



オンオンタマショー

いつもジムに行く時に寄るはなまるうどんへ。
「温玉ぶっかけうどんの温かいのを小でください」
と注文すると厨房では、
「温温玉小!」
と言って連携をとっている。それを僕は記憶している。
でも、僕は注文するときに「温温玉小」とは言わない。
どうして言わないかというと、
「なにこの人店員でもないのに、通ぶってる!」
と思われるかもしれないからです。


揚げ玉を大きなさじで一杯掬って、それからゴマを一振り。
テーブルに運んでから七味を五回振って、
温玉子と、うどんとねぎとつゆを箸でよくかき混ぜる。
お腹が空いているときに、うどんをかき混ぜていると、
箸の回転に合わせて、自分の口がもぐもぐしていることに気付いて、
恥ずかしいなと思った。皆さんはそんなことないですか。


二分ぐらいで食べ終えて、筋トレと有酸素運動をして、
サウナに十分入って、シャワーを浴びた。
夜風はさっきまで冷たくていやだったのだけど、
火照った体には、きんと冷えて心地よかった。