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年をとってもまともでいたい。前向きに生きる。

土曜日、午前中にジムで運動をしてから、
小説教室へ。行きの湘南新宿ラインの中で瞑想する。
とても静かな気持ちになったが、すぐに、
駅のがやがやした雑踏の中で、キーッとなった。
受講生の作品を四篇と前回の文學界新人賞受賞作の
『きんのじ』と『髪魚』が題材になった。



今回も勉強になった。

感銘を受けたのは、
受講生の中に七十代の女性がいらっしゃるのですが、
その方(Tさん)の小説がとても素敵だったことです。
作品は作者と同じ年代の三人の婦人が、
スカイツリーを見る遊覧船に乗って、
川を移動しながら過去を振り返るという内容。
穏やかで美しくてのんびりした等身大の筆致で、
戦争や女性差別や学生運動原発などの社会的なことと、
それに並行して女性視点の家庭のあり方についてを、
僕が生きてきた時間よりずっと長いスパンを設定して、
淡々と描いていることで、ただただ恐れ入りました。


歳が何歳だからと、作品に絡めるのはどうかなとは思いますが、
失礼ながら、七十歳でこんなに明晰でいられるのか、
と思ってしまいました。うちの父は六十ですが、
精神のエントロピー増大を食い止めることができず、
自分を制御できなくなっています、臭いし。
Tさんは聞くところによると、
国際的な会議で同時通訳をされたりと、
現在も活躍中の方らしいので、なるほど修練を積み重ね、
心を整えて己を律している限り、まともでいられるのだ、
と思って、僕もそうありたいと願いました。


そういえば、祖父はエンジニアで七十過ぎても現役で、
徹夜で製図台に向かって線を引いていたのですが、
すごく頭がよくて冗談をたくさん言う人でした。
僕が子供のころはよく戦争の話をしてくれました。
もう十年前に亡くなりましたが。
どうも年を重ねるたびに滅茶苦茶に崩壊していく人と、
より研ぎ澄まされて収斂していく人に、
どこかで分かれるみたいです。
その鍵は現役であることなのかな。


話がそれましたが、文學界新人賞の選評を読んで、
僕なりに総合すると、時代をどのように見るかと、
それをどのように表現するか、ということが第一で、
それは既視感があったり、安易であったり、
露骨であったり、如才なかったりしてはまずくて、
さらに、どこかへ連れて行かれるような力や、
挑発力や啓蒙性がないとまずいらしいということ。


これを全部クリアすることを考えていたら、
一文字も書ける気がしないので、とりあえず全部忘れたい。



日曜日

昼すぎから、あつしさんとおのしゅうさんが、
骨董市に着物を買いに行くとのことなので、
合流したのですが、買い物が終わった後でした。


あつしさんは着物を買い付けるプロということで、
六十万くらいする着物を古着で二万で見つけてくれたそうです。

さっそく着物を着ているおのしゅうさん。


おのしゅう、ずるい。ということで、
おのしゅうさんの似顔絵を描いて送ってあげました。

Twitterのアイコンとかに使ってくださいと言ったのですが、
採用されていないようでした。



月曜日

水曜日まで休みなので、昼に起きる。近所の診療所へ。
ここ一月ほど肋骨の内側が、時々痛んでいたので、
血液検査とエコー検査をしたのです。
その結果を聞きに。結果は異常なし。


「肝臓もきれいなもんだし、気のせいだから、
気にしないで、前向きに生きてください!


ということだった。前向きに生きればいいのか。
きっと肋間神経痛みたいなものなのだろうな。


そのあと、電車でひと駅移動して警察署へ。
更新された運転免許証を取りに。
受領確認の印鑑を押したのだけど、何度やっても正しく押せない。
赤い丸印しか付かないので、おかしいなとよく見たら、
印鑑の反対側で押していて、署員の方に笑われた。


それから、はなまるうどんで、
カレーライスと温玉ぶっかけうどんを食べた。
五百円、とても安い。食後にジムで運動。
汗を流してから、茶饅頭とふぶきという饅頭を買って、
そのまま上大岡へ行って、文藝春秋の増刊号を買った。
爺さんみたいな生活。