読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる
小説集『突き抜け』のご購入はこちらから。



自分の過去の日記を読み返し、書き直している。

自分の過去の日記のいいところだけ選り抜いて、
kindleで出してみようと思って、
一九九九年まで遡って読み直しているのだけど、
なんかぐっとくるものがあったので、ここに出します。
当時の気持ちと、さらにいま思うことを含めて、
原文をだいぶ書き直しています。

二〇〇〇年一月三一日


一月が終わる。二月はぼくの誕生日がある。
一四日に生まれた。バレンタインデー。


チョコレートは一度ももらったことがない。
いや、もらったことはある。親戚の叔母さんから。
または、中学の頃、クラスの女子たちが全員集まって、
男子には内緒で相談したらしく、くじ引きかなにかで、
「○○ちゃんは、○○くんにあげる」と、
ひとりひとり決めたのだろう。
男子はもれなく、チョコレートを、
だれかしらから、もらうことができた。
だけど、これって、だれが得するというのだろう。
差別のない平等なクラスだったということなのだろうか。
ザ・中学生と名付けたくなるようなエピソード。


さらにさかのぼって、小学生の頃。
友人の家に遊びに行ったら、彼の母親が、
「またポストにきてたよー」
と言って、赤やピンクの包装紙でしっかり包まれた、
筆箱くらいの大きさの、
見るからにバレンタインのチョコレートを、
五、六個まとめて持ってきたのだった。
彼はモテていた。
「ははぁ、こうなってるんだ」
と思った。
同級生の女子たちはそんな素振りは
まったく見せていなかった。
バレンタインとみんな騒いでいても、
チョコレートのプレゼントなんて、
ないものだと思っていた。
しかし、あったのだ、密かに、静かに、
自宅のポストに入れるというかたちで。


チョコレートの山を、
一緒に遊びに行った、坊主頭の友人と、
見てはいけないものを見ているような、
恥ずかしいような気持ちで見つめていた。
すると、モテてる彼が、チョコを手にとって言った。
「食べる?」
ぼくは静かに卒倒しそうになった。
そして、あくまで平静を装って、食べずに帰った。


玄関のドアを開ける前に、
ポストを、のぞいてみた。
もしかしたら、という気持ちがあった。
ぼくの誕生日の思い出。


こういう、すこし感傷的なのはほんの一部で、
基本的に笑えそうなものを選んで、
「一頁一笑」を目指して書き直しています。
いつ完成するかな。もうしばらくお待ちください。