ツーリング「渋峠」

長野県と群馬県の県境にある渋峠。

標高2172m、国道の中で日本一高い位置にあるこの峠を目指すのが、
第5回のツーリング部の目的なのです。


で、この渋峠は、うちからえらく遠く、
集合場所は群馬県で、9時集合となっているので、
僕は5時に起きて、6時に家を出ないといけないのですね。


それなのに、前日、お酒を飲んでしまったのは、
ハイボールが飲みたいから作って」
と、最近ご結婚が決まったTさんに言われ、
ご結婚おめでとうございますの気持ちを込めて、
居酒屋「よし」で十数杯のハイボールをせっせと作り、
味見をしていたからなのです。



居酒屋「よし」


ほろ酔いで0時過ぎに帰って、
明日は無理だろうなあと思いながらすぐに寝たら、
目覚ましもないのに、5時に目が覚めました。
間に合う時間だ、けれども眠い。
外は曇って雨が降りそう。これはツーリング中止だろうなと、
だらだら起きてMixiを見ると、
じょーくんが日記を書いていました。以下引用。


今日は会社のツーリング部第5回目の活動。
(中略)
朝の9時に関越の上里SA集合です。
という事は7時には家を出てなければならない。

・・そりゃ無理だろうと一緒に参加する同期と話した結果
夜のうちに集合場所付近まで行くことに。

で、現在埼玉北部の漫画喫茶に居ます


やる気だ……。


マンガ喫茶に泊まると聞いていましたが、本当に行ったのですね。
こういう少し無謀な感じのノリに弱い僕は、
なんか「自分が行かなきゃ誰が行く」みたいな気分になり、
地図・カメラ・手拭いをカバンに投げ入れて、家を飛び出していました。



霧雨のなか、

集合時間の30分も前に到着。まだ誰も集まっていませんでした。


上里SA


これから走ることになるルートを地図で確認していたら、
道のりの長さに緊張し、調子が悪くなってきて、
これはやはり中止がいいかもと思いました。
朝食のカツサンドを食べ終えたとき、じょーくんとサピオくんが到着。
気になっていたことを聞きました。


「今日、やるんですか?」
「ここまで来たので、行きましょう」


そうなのだ、ここまで来たら行くしかないのだ。
行ける・行けないではない、行くのだと決めたら気が楽になりました。
(秘湯へ行ったときもこんなこと書いたような)


その後、合羽を着たMさんが1000ccのバイクで到着。
じょーくんを先頭に、軽井沢に向けてスタートです!
(あとから伺った話ではMさんも
「今日は中止になるだろうな」と思っていたそうです)



軽井沢に着くと、

なんと、きれいに晴れ上がったではないですか。
木漏れ日を受けながら、別荘の並ぶ道を走るのが爽快。
10代の後半で一生働かずに暮らせるだけのお金を稼いだ僕(ウソ)としては、
軽井沢に別荘を建ててもいいと思いました。


ツーリングは順調に進み、どんどん北上。
「白糸の滝」を観ました。
”白糸”と聞いて、僕はすごく高いところから細い水が一本、
さーっと落ちる図をイメージしたのですが、
実際はこういう滝でした。



白糸の滝


たしかに白糸に違いないが、迫力に欠けると思いました。
でもきれいだったので許そうと思います。


浅間白根火山ルートを走る。標高が上がって、気温が下がってきました。
12時半に嬬恋牧場に到着。ここで昼食をとります。


静かで、山が遠くまで見えて、とても穏やかな気持ちになりました。
ベンチに座って遠くを眺める。
ハウルの動く城」でソフィーが湖の前でベンチに腰掛けて、
「不思議ねえ、こんな穏やかな気持ちになれたの初めて」
という場面がありましたが、そんな感じでした。



嬬恋牧場


渋峠まであと少し。考えていたより、全然楽。
耳をすませば」の中に(またジブリ)、バロンと雫の会話で、
「いいぞ!気流に乗った。このままあの塔を一気に越そう!」
「あんなに高く!?」
「なぁに、近づけばそれほどのことはないさ」
というのがあるのですが、ほんと走り出してみれば楽しいものです。



そんなことを考えながら、

雲の中を走り、ツーリング部は渋峠の石碑を
うっかり通り過ぎ
せっかく通り過ぎたのだから、動く歩道とリフトで、
横手山の頂上まで行きました。



左がリフト(じょーくんとサピオくんが乗っています)。右が山頂の見晴台からの写真です。
雲と同じ高さで、こんな位置に雲を見れるのは感動。
頭のすぐ上を、うっすらと雲が移動していきます。
ジブリで言うところの「天空の城ラピュタ」です。竜の巣です。



太陽がとても近い



15時。

ちょっと引き返して、
ついに日本国道最高地点、渋峠に到着!
記念撮影をする。



日本国道最高地点


これがその写真(僕)ですが、
どうみてもライダーには見えないところがすごい。
深夜に小腹が空いて、近所のローソンにからあげクンを買いに出た男が、
何かの偶然に巻き込まれて、ワゴン車に乗せられ、
目隠しを外されたら渋峠に連れてこられていた。
この写真を見たとき、そんなストーリーが脳裏に去来しました。


しかし、連れて来られたわけではなく、僕は自分のバイクで来たのです。
北海道の最北端に行ってから、いつか行かなくてはと思っていた渋峠。
ついにクリアーで、しみじみ雲を眺める。



15時半。

日本一に続いて、"世界一"酸性の強い白根山の湖に到着。
硫黄臭く、標高が高いからか、山頂の湯釜まで歩くのに息が切れる。
湖はエメラルドグリーンで不思議でした。
湖の周囲は草木が育たなくて、石ばかりでした。
昔、道に迷って偶然、恐山に到着してしまったことがあったのですが(偶然にもほどがある)、
雰囲気が似ていると感じました。
そのためか、若干、あの世的なものを感じました。



白根山


山を下って、草津の温泉に向かう。
草津は中村航先生の『夏休み』に出てきて、
絶対に行こうと思っていた所なのです。
徐々に肌寒く、霧が深くなってきました。
16時半頃、草津の西の河原公園に到着。
露天風呂まで両側が木で下が石畳の道を、
手拭を持ってしばらく歩きます。
露天風呂に向かう途中、外から(女の人も歩いているところから)、
男湯の中が結構見えているので、
いいのだろうかという気分になる。



脱衣所は狭くて慌しい感じでしたが、
脱衣所を抜けると、広くて広くてプールみたいでした。
開放感抜群というか、外からも見えてるわけだから、
たしかに抜群としか言いようがない。


緑色のお湯の中を歩いて一周して、
掛け湯がザバザバ出ているところで、
頭からお湯を浴びました。ねっとりというと大袈裟ですが、
重みのある濃厚なお湯で、
口に入ると酸っぱく、目に入ると沁みました。
さすが草津のお湯だと感心しました。
湯に圧倒的なパワーがある!


肩まで温まって、いったん上がって岩場で
空を見上げてぼーっとしてを数回繰り返す。
周りはすでに薄暗く、霧が立ち込めて、ずいぶん幻想的。
「ああ、これはいいなあ。」
心から思いました。



あとは帰るだけ。

霧が出ているので慎重に、一気に山を降りる。
20時に渋川伊香保ICの近くの焼肉屋に入りました。
全員、黙々と一言も発せずに、肉を食べる。
疲れて、眠くて、お腹が空いていたのです。



食後


肉の写真を撮りたかったのですが、あまりに空腹で写真のことを忘れ、
食べ終わってからあっと思って撮ったので、このようになりました。


家に着くのは深夜1時近くなるだろうと予想していたのですが、
高速道路が空いていて、風もなかったので、
フルスロットルで帰りましたら、11時ちょっと過ぎに着きました。
自分でもびっくりです。
T-MAXに乗れたら、それもまたいいだろうなあと思いました。
(ようやくライダーっぽい記述が出た)。



今回のツーリング、

最初のうちこそ気が乗らなかったのですが、
全体として、とてもよかったので行って正解でした。
行かなかったら、これらの経験がなかったと思うと、あれですね。
気が乗らなかったときの自分に注意したい。


やっぱり自然の力はすごいですね。
あとバイクはいいですよ!皆さん。


じょーくん、サピオくん、Mさん、お疲れ様でした。
とくにじょーくんは、計画と道案内、本当にご苦労様でした。
どうもありがとうございます。