罰ゲーム

今年の罰ゲームは?

「今年の罰ゲームは何にする?」
リアル桃鉄本番の数週間前のこと。
リアル桃鉄のミーティングで、この話題が出たとき、
僕はずっと黙っていました。


昨年、
「デーモンメイクはどうですか?」
と発言して、結局、自分がする羽目になったからです。



リアル桃鉄2007での罰ゲームの様子)


その時、気付いたんです。
「『罰ゲーム』は提案した者に降りかかってくる」
ということにです。


僕が沈黙を守る中、話は進み、
いつしか、ちゅうかさんか、雛っちさんが、
「大阪といえば『くいだおれ』だよね」
と言い出し、
「じゃあ、くいだおれ太郎のコスプレで、家まで帰るってのはどう?」
という展開になりました
(あんたたち、どうかしてるよ!)。


「『罰ゲーム』は提案した者に降りかかってくる」
そうとも知らずに、楽しそうなことだと、
笑いながら眺めていました。




でも結局、僕がやることになりました。





あらかじめ断っておくと、

「しーなさん、本当はこういうことやりたいんじゃないの?」
と聞かれることがあります。
僕が罰ゲームを望んで受けて、
実は「おいしい」と思っているのでは、ということです。
それに対しては、




「そんなはずあるかい!!」




と、声を大にして言いたい。
まあ、見てください。望んで受けるようなものではない
ということが、すぐに分かると思います。



くいだおれ

罰ゲームは、「くいだおれ」の店の前から、
スタートすることになりました。
くいだおれ太郎に変身して、くいだおれの前に立ち、
そこから、帰宅を開始するという流れです。


なんばから歩いて、くいだおれへ向かう。
このときは、まだ私服です。



こんな人込みの中でやっちゃって、大丈夫なのだろうか。
額や、わきの下から、冷や汗がたらたら流れる。
罰ゲームを与える側のイッセイ氏、ちゅうかさん、雛っちさんも、
事の重大さに、若干緊張気味の様子。
ちなみに、よしこさんは用事があって、この日は来ていません。
恥ずかしい姿を見られなくてよかった。


くいだおれの前へ立つと、くいだおれ太郎の姿はなく、
シャッターが下りて、閉店を知らせる看板と、

「わて、旅に出まんねん」という看板がありました。


そうか、くいだおれ太郎は、旅に出ているのか。



変身

くいだおれ近くの、がらんとしたビルに入り、
人通りがほとんどないので、そこで着替えました。


ここからは、あまり記憶がありません。写真でどうぞ。













とりあえず、立ってみた。
なんだなんだという感じで、人々が遠巻きに僕を取り囲む。
「なにかするんじゃないか」
という期待の視線をたくさん受けるが、
別に一発ギャグとか持ち合わせていないので、棒立ち。
携帯で写真を撮られたりしている。




ひと通り撮影を終え、焼き鳥屋に入る。
店のお兄さんに
「素晴らしいですね!!太郎が帰ってきたと思いました!」
と言われる。



何を話しても説得力ゼロ!


「一緒に写真撮ってもらっていいですか?」
と親子連れの方に聞かれ、
「あ、はい。どうぞ」
と引き受ける。
「ずっと、この格好で行脚されているのですか?」
んなこたあない。


軽く飲んでから、なんばから新大阪まで移動。
もちろん、くいだおれ太郎の姿のまま。



切符を買って、

ホームまで歩き、

電車を待つ。


日常が、この衣装を着るだけで、異次元。


「あ!太郎や!」
「太郎や!」
「太郎や!太郎が帰ってきた!」


と、反応もなかなか。
外国人のおじさんが、僕を撮ろうと真剣になって、
自転車にひかれそうになる。気をつけて!



イッセイ氏、車内では決して目を合わせようとしない。


そして、新幹線が到着。プフォーーン!


そして乗り込む。




中原中也の詩の中に出てくるピエロって、
こんな感じだったのではと思う。

私の頭の中には、いつの頃からか、
薄命さうなピエロがひとり棲んでゐて、
それは、紗(しや)の服かなんかを着込んで、
そして、月光を浴びてゐるのでした。


ともすると、弱々しげな手付をして、
しきりと 手真似をするのでしたが、
その意味が、つひぞ通じたためしはなく、
あわれげな 思ひをさせるばつかりでした。


手真似につれては、唇も動かしてゐるのでしたが、
古い影絵でも見てゐるやう――
音はちつともしないのですし、
何を云つてるのかは 分りませんでした。


しろじろと身に月光を浴び、
あやしくもあかるい霧の中で、
かすかな姿態をゆるやかに動かしながら、
眼付ばかりはどこまでも、やさしさうなのでした。


中原中也 『幻影』(「在りし日の歌」より)




大阪、グッドバイ!!