京都のla takeさんが、東京にいらっしゃったので、
唐突に遊ぶことになりました。
お互いにmixiで他に遊ぶ人を募集しましたが、
待ち合わせ場所には、我々しかいませんでした。
今回は、僕とla takeさんに友好関係をもたらして下さった
ほとけさんは来れなかったのですが、
ここへ行ってはどうでしょうという提案をしてくれました。
東京ドームシティ『ハッピークリスマス2008』
(「クリスマス☆デートナビ」より)
「星の国」をテーマに100万個以上の電飾による
美しい光の演出で、デートに最適なのだそうです。
これは、ほとけさんから我々への「挑戦状」かと思いました。
どんな試練を与えようとしているのでしょう。
ちなみに、la takeさんは男で、
映像作品を制作されている方なのですが、
フランス人 / The French from nonoho55 on Vimeo.
この作品を、少しでもご覧頂ければお分かりになるように、
ハッピークリスマスの対極に位置するような方です。
夕方の6時に水道橋で待合せ。
待合せ前に、僕は浅草橋に寄りました。
「癇癪玉」を買うためです。
la takeさんのブログに、ハンマーに爆薬を括り付けて爆発させる
外国の映像のリンクがあって、それが面白そうだと思ったからです。
「むさしや商店」という花火問屋に、地図を頼りに行きました。
路地裏に入って人気のなくなったところに、ぽつんありました。
店の前まで行ったのですが、開店しているのか分かりませんでした。
引き戸をガラガラ開けると、すぐ正面に、
店のおじさんが座っていて驚きました。
紙に竹ひごをボンドで接着して、凧を作っている最中でした。
部屋の両壁には、花火や凧やベーゴマが積まれていて、
お客が店内に入る余地はありませんでした。
「癇癪玉、置いてありますか?」
と聞くと「あるよ」と言って椅子に座ったまま手を伸ばして、
10個入りの1袋で何十円かと説明してくれました。
「箱ごと買えますか?」
「1500円だから、1000円」
と言って1000円で売ってくれました。
よくわかりませんが得した気分です。
ありがとうございますと戸を閉めようとしたら、
「鳴らしてみるかい?」ということになり、
「板に挟んで鳴らすと、いちばんいい音がする」
と店の隣の倉庫のシャッターを開けて、
わざわざ板を出して実演してくれました。
おじさんは、癇癪玉を店の前に2、3個放ると、
板を乗せて体重をかけました。
バツーーーーン!!!
物凄い炸裂音でした。
癇癪玉って、こんなに大きな音だったっけと、
さすが花火問屋の主人が鳴らすのと、そこらの小学生が鳴らすのとでは、
桁違いだと思いました。僕にもやらせてくれて、
同じくらいの炸裂音がしました。僕はテンションが上がって、
「すごいですね!」
と興奮して言うと、おじさんもテンションが上がったのか、
「もっとおもしろいものがある」
とボールペンのキャップみたいなものを
店から出してきて火をつけました。
ピヒョーーーーーーーン!!
夕方の浅草橋。空高く打ち上がるロケット花火。
ははは、と視線をおろすと、通りすがりのおばあさんが、
足を止めてこちらを穏やかに眺めていました。
おじさんは、さらに筒状の花火を出してきて、
火をつけました。
「いちばんきれいなドラゴン。モンシロチョウが舞うみたいでしょ」
おじさんが説明すると、おばあさんも見てて、
「優秀だねえ」と言ってました。
しかし、道路の十字路でやっちゃっていいの!?
という気持ちと、ノスタルジーな気持ちになりました。
18:00 水道橋
la takeさんと合流しました。お会いするのは2度目で、
まさか東京ドームシティのデートスポットへ行くことになるとは、
お互い想像してなくて、「どうなるんでしょう」と
他人事のように言いながら、歩き出しました。
やはり、ほとんどがカップルでした。
イルミネーションは、たしかによく出来ていて、
きれいだと思いましたが「きれいですねえ」と言ったきり、
いろんなものを持て余しました。
「サンダードルフィン」というジェットコースターがあって、
乗るか乗らないかで迷ったのですが、今の我々にとって、
「より、あり得ない」行動を選択するということで、
「乗る」
に決まりました。40分待ちでした。
もちろん我々の前も後ろもカップルで、
特に前のカップルは、ずっとイチャついていました。
数組前に、男のふたり組を発見しましたが、
「どう見てもゲイの方ですね」
ということで意見が一致し、人目が気になりだしました。
待ち時間中、まるでいろいろな重圧を撥ね退けるかのように、
我々は芸術とは何か、生きるとは何か、世間への怒り、
大勢に対して一矢報いたいというような話をして、
「クリスマスなんて、ふざけんな」
というような結論に至ったのですが、
ハッピークリスマスの本丸のようなところに乗り込んで、
何を言っているのだろうかとも思いました。
ようやく順番が来たときに、
僕は絶叫マシンが大の苦手だったことを思い出して、
急に恐ろしくなりました。
コースターの頂点に来たときの東京の夜景は実に見事でしたが、
その直後の急降下からは、歯を食いしばり、
ずっと目を閉じていたので、よくわかりませんでした。
la takeさんも絶叫していました。
足を震わせながら降りると、写真が売られていたので買いました。
数時間前まで、こんなに恐い思いをすることになるなんて、
思っていなかったので、不思議です。
その後、
東京ドーム周辺の、人の少ないところで、
「癇癪ハンマー」をやることにしました。
それにしても「癇癪玉」というネーミングはすごい。
「癇癪」とは、
ちょっとのことにもすぐ怒る性質。怒りっぽいこと。また、その怒り。
まさに、今の我々にぴったりのアイテムだったわけです。
そしてハンマー。怒りの鉄槌を下す。これ以上の組合せはない。
la takeさん用にもハンマーを買っておいて、
ハンマーの硬いところに、1袋(10個)の癇癪玉を、
セロテープでまるごとしっかり固定しました。
la takeさんから「癇癪ハンマー」をすることにしました。
夜道で人がいなくなったことを確認。
la takeさんの服装は、ハンマーと見事にマッチしていました。
それに浅草橋で買ったサンタクロースの帽子を被って、
「メリークリスマス!」
と言って、ハンマーを地面に向かって振り下ろしました。
パツーン!!
炸裂はしましたが、思ったほど大きな音はしませんでした。
袋が破けて、いくつか癇癪玉が飛び散ってしまったようです。
「ああ、ハンマーでやるとこれくらいの音なんですね」
少し期待外れでしたね、という感じになりました。
続いて僕の番。横にちょうどコンクリートの壁があって、
その高さが、叩きつけるのに丁度よかったので、
「ここでいきます」と言いました。
「メリークリスマス」
ブンッ!と振り下ろす
ドカーーーン!!!
閃光が走り、煙が広がり、鼓膜がキーンとなり、
前と比較にならないほどの大爆発に、僕もla takeさんも
目を見開いて、顔を見合わせたまま凍りつきました。
その直後、la takeさんはふらつき、
その足が、さっき散らばった癇癪玉を踏んで、
バン!!
と爆発し、2度びっくり。
「囲まれた!」と思ったそうです。
「どこでやったんですか!?」
あまりの音にla takeさんは、何かとんでもないものを
爆破してしまったのではないかと勘違いしたのですが、
僕が叩いたのは、ただのコンクリート。
花火問屋のご主人の教えを守って、水平に力を加えた結果です。
我々は軽いパニックになって、笑いが止まらなくなりながら、
「ちょっとここから離れましょう」
と荷物をまとめて、足早に現場から去りました。
こんなにおかしかったのは、いつ振りだろうか
(このときの様子はla takeさんが撮影していましたので
いつか見れるかもしれません)。
追記:
la takeさんより動画がアップされました!
ありがとうございます。
癇癪準備
癇癪炸裂
その後、
la takeさんのお友達の美術系の女子ふたり(チラマイコさん・はしさん)と、
僕のユンケル仲間で歌舞伎町とマネーの師匠である、くーるさんと、
くーるさんのお友達の、計6人で、
中華料理屋で青島ビールや紹興酒を飲みました。
こんなに人が来てくれるとは思いませんでした。
美術の人たちは、おもしろいなあと思いました。
会の終盤で、「国立国」という美術団体の代表である、
としまさんが来て下さって、ご挨拶をしました。
1月の展覧会に僕も出品することになっていたのです。
気が引き締まりました。
アートのことや、スーパーコンピュータのことや、
企業のことや、テラめしや、経済や、少年ジャンプや、
カート・ヴォネガットや、和彫りや、
刺激的な人々だなあと思いました。
こういう人たちの中で、自分独自の表現をする。
うーん、たいへんだ。と考え込んでしまいました。
la takeさんとふたりだけだったときは、
どうなることかと思いましたが、最終的におもしろく、
ジェットコースターと癇癪玉とコミュニケーションで、
頭が攪拌され、実によい日でした。
みなさん、どうもありがとうございます。