しーなねこが150万円で売れたと聞いた翌日のこと。
会社の昼休みに、
購入すると言っているNさんに、
携帯で電話をかけることにしました。
携帯を手に持って、
「いや待てよ、このご時世、こんなうまい話があるわけない。
もしかして、新手の詐欺ではないだろうか」
と思いました。しかしよく考えてみると、
原価100円ほどの紙粘土を、
150万で売り付けようとする方が、
どちらかというと詐欺だなと思いました。
震える指でボタンを押し、携帯を耳に付ける。
1コール後、すぐに繋がりました。
やーーーきいーもーー!
いーーーしやーーーきいーもーー!
おいしい、おいしい、
おいもはいかがですか?
録音された、石焼き芋のおじさんの音声が、
エンドレスで聞こえてくるだけでした。
唖然として、こう思いました。
「やっぱり、そうかー」
そういうオチだったのです。
期待はしていなかったけれども、
やはりどこかで期待していたためか、へなへなとなりました。
「ま、まあ、そうだよな、150万はないよな」
と改めて、へなへなしながら思いました。
la takeさんに、顛末をメールをしたところ、
la takeさんも同じ番号に電話をして、
石焼き芋音声を聞いて、
「まさか!まさか!金をもぎとってください!」
と愕然としている様子でした。
150万入れば、僕に7割の105万。
国立国に3割の45万が入ると皮算用して、
「これで赤字続きの国立国も助かります」
となっていたので、関係者の落胆も甚だしいのですが、
何というのでしょうか、思ったのです。
この騒動もひっくるめて、ひとつの作品だったのではと。
環境アートというか、状況アートというか。
作品を通して、国立国関係者、
さらにはブログの読者の方々も含めた多くの人々が、
これだけ興奮した作品が、かつてあったでしょうか。
お金とは。芸術とは。その価値とは。
さらには生活とは、仕事とは何かを、
真剣に考えるよい機会になったのでは、
……なんて、思えるかーい!!
と、やっぱり、のけ反りそうになりましたが、
ある意味、国立国の歴史に残る作品になりました。
「しーなくんなら、あり得ない話ではないな」
と、いろんな方に言ってもらえただけでもよかったです。