イガラシイッセイ氏を祝った。

会社の昼休み、お弁当を食べ終えて、
ぼんやり座っていたら、イガラシイッセイ氏がやってきました。
なんだか、よろこびと緊張が混ざったようなエネルギーを、
全身からほとばしらせていました。


ど、どうしたんですかと氏の方を見ると、
河出書房の文芸誌『文藝』を手に持っていたので、


「ま、まさか?」


と思いました。「突き抜け派」という
小説を書くサークルみたいなのをやっていて、
毎月20枚書いて作品が完成したら、
バンバン賞獲っていきましょうということで、
できたものから投稿していたのです。
で、半年前にイッセイ氏が190枚書いて完成させて、
「どこに送っていいのか全然分からない」
と言っていたので、僕が、
「イッセイさんのは文藝賞向きですね」
と、わかったようなことを言って
イッセイ氏は本当に文藝賞に応募したのでした。


「ま、まさか?」


イッセイ氏が文藝賞の結果発表のページを開いて、
「ここ」と指をさしました。指が震えていました。



おおおおお!


二次選考を通過していました。
2012作品中、33作品だそうです。
受賞ではなかったのですが、それでも最初に書いて、
とりあえずな感じで送ったものが、
ここまで行ったっていうのは、すごいと思いました。


半年前、僕はイッセイ氏の小説を読んで、
「独特の重苦しさというか閉塞感というか、社会に振り回されて
どうすることもできない現代人のかなしみが出てておもしろいですね、
そう、カフカの『城』みたいですよ、『城』は数ページしか読んでませんけど。
読むのが苦痛と言っちゃあれですが、重苦しくて途方にくれる感じが、
マゾヒスティックな人にはたまらないと思います。
これが本になってもあまり売れないと思いますけど。
……いや、いい意味でですよ!直木賞というより芥川賞的な意味で」
と、ほめているような、ひどいようなことを言いつつも、
僕はイッセイ氏を


信じていました!


いやあ、冬の文学フリマも楽しみになってきました。
イガラシイッセイ先生は現在、文学フリマ向けに新作を執筆中です。
イッセイ氏の小説が読めるのは『突き抜け』だけ!


で、夜、川崎の居酒屋でお祝いをしました。
イッセイ氏は本当に着実に継続してやる人です。
190枚の最初から最後までを破綻なく、一定のトーンで、
むらなく書き上げたこと自体、とんでもない力量だと思います。
そして、それはそのままイッセイ氏の人格の表れなのです。
僕もがんばろうと思いました。
刺激をありがとうございます。


次は受賞ですね。