本を三つ読んだ。
- 作者: 東浩紀
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2009/12/18
- メディア: 単行本
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ものすごくおもしろかった。
東さんの持つ専門領域の知識を結集させて、
またその頭脳でものすごく緻密に組み上げて、
それを家族の物語としてまとめて、
太いエンタテインメントにしてしまう、
とんでもなくぶっとんだ作品だと思った。
平行世界があったら、こうなんだろうなと思った。
複雑すぎて途中からわからなくなったけど、
全体として強烈にSFのワクワクが迫ってきて、
最後も希望が持てて、ぐいぐいと読み終えた。
こういうのは久しぶりだった。
- 作者: 山下澄人
- 出版社/メーカー: 平凡社
- 発売日: 2012/03/16
- メディア: 単行本
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別の意味でぶっとんだ作品だと思った。
最初一人称の「わたし」で始まっているのだけど、
いつの間にか、「わたし」には見えるはずのない風景が、
見える描写、つまり「わたし視点」から「神様視点」に、
なったりならなかったり、それでも一人称で進む。
ところどころで出来事がシンクロして、なんなんだこれは、
と思うのだけど、中盤からああ、なるほど、
それならそういう視点になるかと、うっすら納得する。
だけど、最後になったらもう、さっき「なるほど」って
思ったのがちっぽけなことだったくらいヤバくなって、
視点の移動が空間にとどまらず、あんた、時間も越えて、
時空を超えた視点移動が繰り広げられておわる。
こんな小説があっていいのかと思った。
ぶっとんだといえば、
安部公房の『壁 - S・カルマ氏の犯罪』も、
いまごろになって読んで、静かにぶっとんだのだった。
- 作者: 安部公房
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1969/05/20
- メディア: 文庫
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あったのかとぶっとんだったのだった。
最近、安部公房の初期の短編『天使』が発見されて、
今月の新潮に掲載されているらしい。
読んだ人によると「ちょっと頭が変になりそう」
とのことだった、きっとぶっとんでいるのだろうな。
とにかくこれらの作品のぶっとび具合に比べたら、
『突き抜け5』にぼくが書いたものは、ぶっとんでない。
ジャンプしたくらいになっている。でも前のより、
跳躍力が上がっている気がする。
もっと、肩の力を抜いて、ぶっとびたい。
それでいて、小説としての魅力のあるものにしたい。