「村上さんのところ」を読んでいる

『村上さんのところ』を読んでいる。
小説家の村上春樹氏が、読者や読者じゃない老若男女から
送られてきた500近い質問に、真剣に答えている本。

村上さんのところ

村上さんのところ

小学生から老人までたくさんの質問があるのを読んでいると、
自分も同じような悩みがあったなとか、
こんな悩みたいしたことないじゃないかみたいな相談もあり、
悩みの質と年齢は、けっこう関係あるけど、
意外とないものなのだなと思った。

100問、200問と読みすすめていると、
だんだん村上春樹氏のような思考になってきて、
質問を読んだ時点で、
これは愚問だ、村上さんは軽くお叱りになるのでは、
と思って心配になる。で、実際に「そんなことじゃいけません」とか、
「あたりまえじゃないですか」みたいに軽く叱るような回答があったり、
叱ることはなく、ぼくが未熟で間違っていました、
と自分が反省したりするようなこともある。

とくにおもしろいのは、物語や創作に関する答えと、
生き方に関する答えで、なるほどなと思うことが多かった。
でも、なるほどなと思えることは、
実は自分にとってそれほどのことではなく、
なぜなら、なんとなくモヤモヤとそう思っているから、
腑に落ちるからで、本当にきちんと心に刻んでおくことは、
いま全然よくわからないと思うことなのだろうなと思った。

ぼくが40代、50代になったら、
なるほどなと思えることを早めに知れるようになりたい。
ぼくはいまはそうは思えないけど、思える30代も大勢いるはず。
何が足りないのかと考えると、経験とか観察力だと思う。
いろいろ経験することはもちろんだけど、
それ以上に観察力だと思う。経験量が多くて観察できないより、
経験量は少なくてもきちんと観察できる方が得るものが多そう。
でも、経験がまずないことにはどうにもならない。

だからといって、やたらに海外旅行やいろんな職業を
経験すればいいわけでもないのは何となくわかる。
呼吸からでもたくさんの気づきが得られる。
そんなことばかり考えて、なかなか行動しないから、
経験の幅が広がらないし、独身なんだ、ぼくは。

すごい酒屋へ行ったこと。つきみ野うかい亭へ行ったこと。

7月26日(日)

会社の先輩Aさんに日本酒の種類が豊富な
酒屋へ連れていっていただいた。イッセイ氏も行った。
昼に聖蹟桜ヶ丘に集合。夏真っ盛り。汗びっしょり。
近くにあった餃子屋に入り、餃子定食と生ビール。
しばらく歩いて酒屋に到着。入ってすぐ、すげえ! と思う。
壁一面に一升瓶が並んでいて、業務用冷蔵庫も数台。
店の奥の奥の方にも小部屋と冷蔵庫。
宝探しをするように、酒を見ていく。
いろいろ迷って四合瓶を二本購入。
貴の純米発泡にごりと、石鎚の夏の特別純米

イッセイ氏も二本、先輩は五本(?)買って、
各自手提げやリュックに酒瓶を入れて、ふたたび駅まで歩く。
天気はよいし、あたりはのどかだし、
聖蹟桜ヶ丘は映画「耳をすませば」の舞台になったところだしで、
大変おだやかな気持ち。だけど暑さで朦朧としてきた。
帰りのクーラーのきいた電車で、「せっかくすごい店まで来たので、
もう一本くらい買っておけばよかったです」と述べたら、
Aさんが手提げから一本取り出してくださって感激
(すみません、ねだったみたいになってしまって)。
イッセイ氏ももらっていた。

ものすごい充実感で家まで帰り、
まだ15時頃だったかと思うのだけど、
急に眠くなって一時間半昼寝。日中のことが夢見たいな気分。
冷やしておいたのを晩酌にさっそく一杯やって、超うまい。
ありがとうございました。
https://instagram.com/p/5maxjuCwpE/

7月18日(土)

うかい亭という鉄板料理店へ行ったのだった。
うかい亭は何店かあるのだけど、ぼくが行ったのはつきみ野
高級鉄板料理の店で、収入の少ないぼくが、
なぜうかい亭へ行ったかというと、以前に聴いた
ホンダでエアバックを作った小林三郎氏が講演で、
本質を知るためには、

一流の人と会うこと
一流の物を見ること
一流のものを食べること

の3つをすること! とおっしゃっていたからで、
なかでも1年に1度は銀座の久兵衛で寿司を食べること!
ということだったので、久兵衛は次に行くとして、
とりあえず、うかい亭へ行ったのだった。

しかし、けっこう高い。コース料理で1万5千円する。
これでお酒も飲んだらいくらになるかわからない。
そんなところへ行くので、簡単な気持ちでだれかを誘えない。
だからひとりで行こうかと思ったのだけど、
予約は2名以上とあったので困った。
結局、未婚で実家暮らしで暇そうな人なら
ということで、おのしゅうさんをツイッターで誘った。
すると、それを見ていたつしまさん(女子)が同行したいといい、
3人で行くことになった。

つきみ野は閑静な住宅地で、
10分くらい坂を歩いたところに、
大きな屋敷があって、そこがうかい亭。
洒落た豪華な洋館で、カウンター席に横並びで座り、
ソムリエにおすすめをうかがったりして、
ワインを決めることになった。メニューにあるボトルは、
どれも1万円からで、すげえなと思ったけど、
せっかく来たのだから後悔しないようにしましょうと、
おすすめの高い白ワインを選んで飲んだのだけど、

ぶったまげるほどうめえ!

肉も魚もうめえ!

と言葉が乱れるほどうまく、続いて赤ワインもいいのを飲む。
やっぱりうまい。ヨークマートで2割引で買っていた2千円のワインも
うまいと思っていたけど、どう違うのかというと、こまかさが違う。
より微分されているような、味のレンジというか、
なんか映像が見えたわ。目の前で調理、めくるめく体験。
https://instagram.com/p/5R9w6Jiwua/
デザートを食すために別室に移動してコーヒー。
3人とも放心状態気味で、よかったよかったと話して、
会計は3人で7万5千円。うますぎたのと、酔っていたからか、
あまり高いと思わなかった。ま、それくらいするよね、と。
で、ワイン会があるので是非来てくださいとソムリエに
お誘いいただいて、ぜひ行きたいです! と元気に応えたのだけど、
冷静になったいま、いくらするのか、おそれている。

それにしても、すばらしい体験ができた。
年に1回くらいはこういうことしたい。

ひさびさ日記。お笑いをよく見た。

前回の日記からひと月半も空いてしまった。
いろいろして、ああ、書かなくては忘れてしまう
と思いながら書かないでいて、こんなになってしまった。
ピロリ菌がいなくなってから、胃腸の調子がよくて、
痛くならないからけっこう飲んでしまう。
飲んでしまうと眠くなる。
帰宅して、お風呂に入らずにそのまま寝てしまう。
そういうことが増えた。
https://instagram.com/p/4aqeM3iwiC/

6、7月はお笑いをよく見た。お酒も飲んだ。

6月12日(金)

会社の後輩のK君に誘ってもらって、TOHOシネマズで、
爆笑問題の所属事務所であるタイタンの芸人さんたちが出演する
タイタンシネマライブを見た。映画館でコントの生放送を見られる。
ライブならではの過激なネタがあって、新鮮な体験だった。
おもしろかった。終わってからビールなど飲んで帰る。

6月14日(日)

渋谷のユーロスペースへ、渋谷らくごを聴きに行った。
林家彦いちプレゼンツ+創作らくごネタおろし会」
昼の部で、お客さんは会場の3分の1くらい。
映画などを上映する施設なのでシートがしっかりしていてラク。
広々ゆっくり鑑賞することができた。
創作落語のネタおろしは、ウケるかどうかわからないし、
そもそも伝わるかどうかもわからない不安だらけの会なので、
客席はこれくらいの空いていた方が気が楽だという
オープニングトークから始まったのだけど、
やはりプロの噺家さんたち、しっかり笑わさせていただいて満足。

6月26日(金)

会社の同僚のKさんのお誘いで、シティボーイズの舞台を見に行った。
シティボーイズ ファイナル part.1『燃えるゴミ』」というタイトル。
新大久保の東京グローブ座。コントのような演劇のような舞台。
大竹まことさんには文化放送のラジオに、
あまやんさんと2度出演させていただいたときに、
間近でお話する機会があったのだった。
そのとき、しーなさんは何かあるから、がんばりなさいよ
というようなことを言っていただいて感激したのだった。
舞台上の大竹さんも、やさしくてカッコいいおじさんだった。
しみじみ、おもしろくて、いいなあと思った。
クライマックスでピカピカの泥だんごが割れるのだけど、
そこは体が跳ね上がるほど笑った。

7月3日(金)

ぼくが入社したときの教育係でありリーダーである
Iさんが日本酒の会を開催してお声がけくださり参加した。
Iさんのネットワークで集めた貴重な日本酒の数々を、
がぶがぶと飲むことができる夢のような宴会。
お酒好きが20名ほど集まって、べろべろになるまで飲む。
而今など1合千円はするようなお酒を瓶ごと回し飲みする会。
浴びるように飲むのに、よいお酒だからか二日酔いが少ない
(一升ほど飲んだわりには)。

7月6日(月)

明石家さんまさんの舞台「七人ぐらいの兵士」を、
ふたたび同僚のKさんにチケットを取っていただいて観に行った。
場所は渋谷のBunkamuraシアターコクーン。笑った笑った。
温水洋一さんとの掛け合いや、どこまでが台本なのか、
アドリブなのかわからない、無限ループのような爆笑。
笑わそうとかインパクトを与えようとしてセリフやネタを言うのを
「置きにいくな!」とツッコミを入れておられて勉強になった。
おれも置きにいかないようにしよう。
最初から最後まで濃密で全力で、まじ半端なかった。

7月31日(金)

柳家喜多八さん、三遊亭歌武蔵さん、柳家喬太郎さんの三人会、
「落語教育委員会」を上野鈴本演芸場へ聴きに行った。おのしゅうさんと。
何度もやっている会なのだけど、ぼくらは初めて。
立ち見も出るほどの超満員。オープニングから歌で始まったので、
そういうものかと思ったら、いつもはコントらしい。
歌には驚いた。さすがお上手だった。喬太郎さんは新作落語
夏らしくて、ほろりとしつつ、たくさん笑った。
上野東京ラインで帰ってきて、戸塚で飲んだ。

目がしぱしぱする。現実逃避と真実逃避

やらなきゃいけないことをやらずに、
別のことをしたり考えたりすることを「現実逃避」といって、
この言葉はネガティブな意味で使われている。
世間では現実逃避をせずに、
現実と向き合うことがえらいとされる。
https://instagram.com/p/4IxRm_iwpE/
しかし、脇目もふらずに現実に向き合うということは、
「やらなくてはならないことなどこの世にはない」
「人はいつか死ぬ」「色即是空 空即是色」
といった真実から逃避していると、
言えるのではないでしょうか(言えない?)。

現実は表層的なものですが、
真実はもっと深く本質的なものだから、
現実逃避より、真実逃避の方が罪深い気がするのは、
ぼくだけでしょうか。

だからといって、現実逃避をしまくれば、
真実に向き合っていることになるのかと言われると、
そうではないと思います。たとえば、
「宿題をやらずに、裸で流しそうめんをする」
という現実逃避が、真実に直に向き合っているとはいえません。
しかしながら、少なくともなんというのでしょう、
別のことに心が向いて、そちらに心が入るということは、
現実というものに対して、
これは本質的なことではないんじゃないか
と直感的に気づいて、本人が意識しているかどうかは別として、
とにかく離れよう、(よい意味で)逃げようとする気持ちの表れ、
つまりは「悟り」への第一歩なのではないでしょうか。
https://instagram.com/p/4HW0wUiwpW/
真実逃避をせずに、しっかり真実を見据え、
真実認識の土台の上に現実を構築し、
そうしてはじめて現実逃避をやめて、
しっかりやるべきなのだと思います。
土台から納得できていれば、現実から逃避することは、
真に無意味なので自然となくなるのではないかと思います。
行ったり来たりのバランスが大切なのでしょう。

だから「現実逃避ばかりして!」と文句を言われたら、
「あんたこそ真実逃避して!」と言い返して、
ゆっくり妄想していればよいと思います。ほどほどに。
https://instagram.com/p/3mCe0gCwjM/

小林三郎氏の講演を聴いたり大学の恩師にお会いしたりした。

6月5日(金)

定時退社して、東京丸の内KITTEのあるJPタワーへ。
大学の先輩がセミナーを主催してご招待くださったのだった。
セミナーのタイトルは、
「ホンダ流! イノベーションに強い人と組織の創り方」
というもので、「イノベーション」という言葉が、
ここ数年あまりにたくさん使われているものだから、
このセミナーも、もしかしたらよくある意識高い系の
オシャンティー系の内容だったらどうしようと思ったのだけど、
開始数十秒で、疑念は吹き飛び、こ、これはやべえぞと震えました。


お話くださったのは、ホンダでエアバッグを16年間研究して、
世界初で商品化した小林三郎氏。1945年生まれ。
飲み屋にいるような話し方で、バカヤローを連発するので、
うわあ、こええ、前の方に座らなくてよかったと思いました。
エアバッグの開発・商品化は社長以外ほとんどが反対して、
地獄のような16年間だったそうです。
最終的に、エアバッグは商品化され、
またたく間に標準装備になったのだけど、
「あのとき反対した奴らのクルマからエアバッグとってやるぞバカヤロー」
と言って会場は笑いが起こっていました。
バカヤローというのは小林氏がいた当時のホンダでは、
日常的に言われていたらしく、社内には上下も敬語もなく、
ニックネームで呼ばれて一流だったそうです。


お話が超絶おもしろくて、
本田宗一郎が小林氏のところに乗り込んできて、
わーっ!と怒鳴りまくって話すのだけど、
想いが強すぎて何を言っているのかわからなくて、
ヒィィやめて〜となっていたこととか、すごいおかしかった。
もちろんとても勉強になることがたくさんあって、
ポイントで覚えているのはこんな感じ。

・仕事のタイプをオペレーションとイノベーションに分けること
・40歳すぎたら分別がついて頭が固くなるので、
 イノベーションをやろうとしてはいけない
・40歳すぎたら内容がわからなくなるので本質と
 コンセプトを問うようにする
・ジジイは内容が理解できない
・ワイガヤが大切
・高質な原体験(一流の、モノを見る・人と話す・モノを食う)
・銀座の久兵衛の寿司を食べろ
・文化に革命を起こし席巻すること
見える化すると匂いが消えてしまう
・Spiritual Belief(信念)

とてもよかったので、もっといろいろ知りたいと思って、
帰りの電車で本をすぐに注文したのだった。

ホンダ イノベーションの神髄

ホンダ イノベーションの神髄

本当に素晴らしく、感動的な講演で、胸が熱くなったのだった。
小林氏は40歳以上のことを「ジジイ!」と言っていたけど、
40になる前に聴けてよかった。
それと、小林氏の愛のあるバカヤローを聞いていて感じたのは、
父方の祖父もバカヤローとよく言っていたなということ
(ぼくにはやさしくて、父によく言っていた)。
祖父は名古屋の有名なビルのガスや水道の設計は
ほとんど俺がやったと豪語していて、生きていた頃に、
名古屋駅前を一緒に散歩した時に、あのビルも、あのビルもと
指さして教えてくれた
(ちなみにビルそのもの設計は母方の祖父がしていて、
両親を会わせたそうなので、ある意味ぼくはビルです)。
話が逸れたけど、ぼくのおじいさん世代、
戦争に行っていた人たちって、エネルギーの塊みたいな印象がある。
それと荒々しいけど知的で優しいというか。全力で人間というか。
ホンダに限らず、戦後にできて急成長したいまの大企業って、
最初はそういうエネルギーの集まりだったのだろうなと思った。
小林氏が、いまの日本は何も新しいモノを作ってない、
いまの社長は係長みたいなやつらで、器にあらず、
と何度も言っていたのも、その当時からしたら、
そうなんだろうなと思った。
アツさとか愛とか野生とか、いまではちょっとうっとなるような、
松岡修造みたいなパワーが実はいまとても必要なのかもしれない。


講演のあと、招待してくださった先輩に挨拶をして、
会場にいらしていた大学の恩師の梅田先生、越島先生に
十数年ぶりにご挨拶した。全然変わってないと言ってもらえた。
そのあと、越島先生のいまの教え子のKさんと、
4人で食事をした。近況報告ということで、
エクストリーム出社の本をお渡ししたりした。
教わっていたプロジェクトマネジメントとあまり関係がないので、
呆れられるかと思ったのだけど、褒めていただけた
(あのあと読んで呆れているかもしれませんが)。


先生に教わったことが、いまの生活に大変役立っていることを
お伝えしてお礼をいいたかったのだけど、
緊張して、ご飯をご馳走になってしまった
(学生の頃から1円も払っていない)。
大学では具体的な授業の内容は、もちろんなのだけど、
振り返ると、学び方や考え方を教えていただいたのだなあ
と思うのだった。先生の研究室で本当によかったと思っている。
もし、ぼくがもっと勉強できていたら、別の大学に行っていたはずで、
そうなっていたら、いまみたいに楽しくなかったかもと思うので、
勉強できなくてよかったとホッとしている。


40に向けて、アツくやっていきたいとふつふつとなる、
とてもよい日だった。