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淡々と黙々とやりたいものです。

少し前までは、日本の閉塞感がどうのとか、
エジプトやリビアの革命を遠くに見てあれこれ考えて、
それでも結局、日本では何ひとつとして、
劇的な変化は起こらないのだろうなと思って、
だからといって率先して変化を起こす気持ちにもなれなくて、
そんな自分を嫌がりながら、鬱々と、
病室に向かうだんだん暗くなる一本の廊下を歩くような、
そんな気持ちに、時々なったりしていました。
また、日本のいろんなサブカルチャーは、少なからず、
そういう不安を含んでいたり、それに対抗するようにして、
生まれてきていたのではないかと思ったりしました。


しかし先月の地震で、日本の閉塞感とか言われていたものや、
それによって僕がメランコリックになったりしていたこととかが、
頭の中のバーチャルな贅沢病のようなものだったのではないかと、
急に思ったのでした。目の前のリアルが、
あまりにも鮮明で強烈で過酷だったからです。
内側からの革命ではなく、外側からの自然の力で、
強制的に劇的な変化がもたらされてしまって、
おそろしくて、茫然としてしまいました。


通念が転換し始めているのを強く感じます。
重宝されてきたものが価値を失って、
見向きもされてこなかったものが重要になったり、
創作や思考の基準にして、含ませていた空気や、
土台にしていたものが役に立たなくなるのでしょうか。
いきなり一列にスタートラインに立たされて、
パン!とスタートが切られたものの、みんな、
コースも走り方もわからなくてうろうろしている。
そんな状況のようにも感じます。


根本的な物事の見方、自分の姿勢を維持して、
なんとかこの状況を乗り切りたいものです。
新しい通念を模索し、思想を込めたものを発表し、
それが世間で洗練されて伝わっていくことで、
また通念が新しく再建されていくのだろうと思います。
そういったことを、アートとか、
クリエイティブみたいな言葉ではなくて
淡々と復興のための作業をこなすようにして、
黙々とできたらいいなと思いました。