歯の詰め物がとれたときに付けてくれた歯医者へ行って、
歯石の除去をしてきた。除去の前後に歯を撮影して見せてくれた。
もう10年くらい歯医者へ行っていなかったので、
こうして見せてくれるのが普通なのか、
この歯医者が先進的なことをしているのかはわからないが、
きれいになった様子が見えて、ありがたみが増した。
そういえば、地下鉄の広告で見た歯医者は、
治療の様子を録画してDVDにして希望者に渡してくれるらしい。
すごい。というか、それをもらって、いつ見るのだろう。
夜、家人が寝静まったあとにワインでも飲みながら、
50型のプラズマテレビで見るのだろうか。
それはそうとして、歯の形がくっきりした。
舌ざわりもいつもと違う。何かがなくなっている。
何かって、それが歯石なんだろうけど。
いきなりだが、足の毛を剃った。
見ていると、落ち込む毛がある。ぼくが変なのだと思う。
しみじみ眺めていると人生を感じ、してもいない苦労がにじみ出て、
歳をとった気持ちになるような毛がある。
そういう毛のランキングを発表する。
第3位、足の毛。これが今日剃った足、脛の毛だ。
長くなってくると、悲しくなってくる。
他人の足の毛を見ても、心は動かない。
いや、たまにもじゃもじゃになりすぎている人を見ると、
なぜか、ぼくが悲しくなる。
第2位、お腹の毛。これもきびしい。
いっそ、わっと生えていたら気にならないのかもしれない。
父などは、腹に毛が生えすぎて、その毛がシャツの繊維をむしり、
渦を巻いてへその中に綿ぼこりがたまるという、
化け物のようなことになっていたので、
最悪な印象になっている。
胸に生えているのも気になる。気が付いたら剃る。
第1位、指の毛。指の背に生えた毛。手はよく目に入る。
会社でキーボードを叩いているときに、指の背の毛が見えると、
はたらけど はたらけど猶 わが生活楽にならざり ぢつと手を見る
の気持ちになって、やりきれなくなる。
資料を指さして何か説明をしているとき、自分の指の毛が目に入る。
毛のことしか考えられなくなる。若者の指の背に、長い毛はない。
指の背の毛など、毎朝のヒゲ剃りのついでにでも剃れば、
1か月は生えてこない。その短い時間すら指に神経を向けられない、
生活に追われ、美意識を持ち自らをコントロールすることもままならない、
そういう気持ちが豊かさの正反対に位置するようで、つらい。
ちなみに、他人の手毛を見ても何も感じない。