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同期会

会社の同期(入社6年目)と、入社1年目の人々とで酒を飲みました。


6年目と1年目では、5歳以上の差があるため、
1年目の人たちは緊張をしている様子でした。
お互いに何を話して、どう接してよいのか分らない感じの
静かな手探りの雰囲気で、会は始まりました。


十数名全員に酒が行き渡り、
僕が「乾杯の挨拶」をすることになりました。
僕には前々からやりたいと思っていた乾杯の挨拶があって、
芸術家の岡本太郎氏がやったという、感動的な乾杯の挨拶なのですが、
それをやらさせて頂きました。


「この酒を飲んだら死んでしまうと思って飲め、乾杯!」


静まっていた場が、完全に静まり返りました。
一体どういう意味なのか。皆、唖然としていましたが、
僕も唖然としました。
僕自身「この酒を飲んだら死んでしまうと思って飲め」の意味が
分からなかったからです。何かカッコいいと思ったからやっただけです。


そうか、この挨拶は、芸術家である岡本太郎氏がやるから感動的なんだと、
数分後に気付きましたが、アフターカーニバル(後の祭り)でした。


そのあとは、あまり覚えていません。
ビールをがぶがぶ飲んで、気付いたら家で転がってました。


頭痛と吐き気、特に頭痛の方はズキンズキンと激しくて、
ことによると頭の血管が切れて、このまま死ぬんじゃないかと思いました。
あ、「死んでしまうと思って飲め」って
そういうことだったのかもしれません。