関西MMK紀行3日目「業火・人は何で生きるか・愛」

清水ユースホステル、朝、遠くから鐘の音がして、
空気が澄んでいて、鳥が鳴いていて、気持ちよかったのですが、
体が布団から出ていたのか、背筋がゾクゾクしました。


朝食は宿の人たちと食べて、よい雰囲気でした。
お客さんの中にドイツ人のおばあさんがいて、
ここでも英語と日本文化をもっと覚えたいと思いました。
オレンジジュースを勧めてくれて、うれしかったです。


午後から、イガラシイッセイ氏と、スガアザラシ氏が、
飛行機で大阪入りする予定です。
前日の電話で、おかかさんに言って頂いた通りに計画を立て、
まず昼から、よしこさんと会うことにしました。



王寺駅

「天女」の下で待ち合わせ。



緊張からか、熱っぽくなってきて、いつものことだと思っていたのですが、
寒気もしてきて、皮膚の神経もピリピリしてきたので、
風邪薬を飲んで、喫茶店で紅茶を飲んで、少し休みました。


よしこさんは、生活を動物行動学から把握する、クールな女子でした。
そして、なんと、僕のページを中学生のときから、
10年近くも読み続けてくれている人で、
とても初対面とは思えませんでした。
宇宙と生活の話とか、モテについての考え方とかを、
お昼を食べながらお話ししました。
考え方とかにすごく共感して、すごいなあと思いました。
それと、関西弁にぐっときました。かわいいです。


イッセイ氏の話題が出て、そういえばと思い出して、
携帯をポケットから取り出すと、イッセイ氏からメールが着ていました。
すでに天王寺に着いて、スガアザラシ氏と
たこ焼きを食べている(さっそく!)とありました。
もっと、よしこさんとふたりで話していたかったのですが、
合流することにしました。集合場所に歩いて向かう途中、


デートみたいですね」


と言われて、照れて、少し浮かれましたが、
天女の下の待ち合わせ場所に、見慣れた男たちがいたので、
一気に現実に引き戻されました。
よしこさんは、紹介していないのに、どちらがスガアザラシ氏で
どちらがイッセイ氏かを、一発で見抜きました。


全員揃ったことを、おかかさんに連絡すると、
おかかさんの彼氏さんであるFさんが、クルマで迎えに来て下さって、
おかかさんのお店に行きました。



おかかさんは、

戦中からの歴史のある漢方薬の専門薬局の先生です。
Fさんにシャッターを開けて頂き、中に入ると、
漢方薬の香りがして、気が落ち着きました。


調剤室(?)の壁に、数年前にお送りした、
アクリル絵の具で描いた、しーなねこの絵が飾ってあって、
「飾って頂けていたんだ!」と強く感激しました
(サンダルウッドの精油を頂いたお礼でした)。


少しすると、ピンクの自転車に乗って、おかかさんが帰ってきて、
すごいハイテンションで、「うわー!うわー!」と言いました。
おかかさんも、10年くらいページを読んでくださっている方で、
へもいっ子クラブ会員番号091番なのです。


おかかさんは、明るく元気に歌うように、
愛がたくさん溢れているのが感じられました。
薬局の上の階にお邪魔させて頂き、
テーブルについて、おかかさん、よしこさん、
スガアザラシ氏、イッセイ氏、
奥でFさんが僕のブログを読んでいるかたちで、
お話ししていたのですが、どうも熱っぽくなってきたので、
おかかさんがちょうど薬剤師の先生なので


「数日前から咳が出て、熱っぽいのです」


と症状を伝えると、体温計を貸してくれました。
ピピピとなって、全員が注目する中、体温を見ると




38.2




全員がズッコケるような形になりました。
よしこさんは、37度くらいで「ちょっと熱あるね」
みたいなオチになると思っていたそうです。
しかし、まさかの38度。
おかかさんが、




「しーなさん、横になり!」




と、テーブルをどかして、布団まで出して寝かせてくれました。
そして、漢方薬を処方してくださり、牛の胆石とかを
オブラートに包んで下さいました。
おかかさんが、漢方薬の先生で本当に助かりました。


近所のたこ焼きの店へ行く予定だったので、
僕に構わないで、皆さんで楽しんできてくださいと言って、
布団で休ませて頂きました。布団を汚すといけないので、
寝巻きのジャージ(やけにスポーティー)に着替えました。


1時間ほど経ったのでしょうか、目を覚ますと、
おかかさんとよしこさんが、たこ焼きをお土産に、
戻ってきてくれていました。
「しーなさんが、ここで寝てるって信じられないよねー」
とふたりで言っていましたが、
僕も、自分が大阪のおかかさんの家で寝ていることが
信じられませんでした。
もう一度体温を測ることになり、ピピピと鳴りました。




39.1




おかかさんが、



「しーなさん、かわいそう!こんな遠くの地で、かわいそう!」




と叫び、その後のことは、気が遠くなって、
あまり覚えていません。
朦朧とする意識の中、よしこさんとお別れしました。


その後、全員戻ってきて、夕飯を食べていたようです。
僕は襖で仕切られた隣の和室で、
濡れタオルなどで、体を冷やしたりしました。
おかかさんが、ロケットのような座薬を持ってきて下さり、




「自分でやらないなら、イッセイさんに入れてもらうで!」




と、おっしゃるので、
初対面の人の家で、座薬を入れるという、
前代未聞の試みがなされました
(皆さんに聞かれましたが、
もちろん自分で入れたに決まってるじゃないですか)。
座薬と漢方が功を奏して、夜中の0時には38度まで下がりました。


スガアザラシ氏とイッセイ氏は、駅前のホテルへ帰りました。
イッセイ氏が帰り際、
「しーなくんを、よろしくお願いします」
と、おかかさんに深々と頭を下げていたのを見て、
僕は一体、何をしているのだと思いました。


大変申し訳なかったのは、お家に泊めてもらったことです。
当初は近所のホテルを取って、そこに泊まる予定だったのです。
「すみません出て行きます」
と僕が言ったとき、おかかさんが、
「私は、出て行かせることはできません。人間として」
とおっしゃったとき、僕の心の中の、曖昧で自信の持てなかったものが、
突然、明らかでリアルなものになりました。
トルストイの『人は何で生きるか』で読んで、
頭では分かったつもりになっていたことが、心で分かりました。


定期的に、おかかさんが、僕のところに来て
「行ける?」とか「行けた?」
と聞きました。
最初「ど、どこへ?」と思いましたが、
「行ける?」とは「大丈夫?」という意味だと教えてくれました。
「こんな病人をどこに行かせるの!」
と、おかかさんは爆笑していました。

追記:
おかかさんより、「行ける?」「行けた?」は
「いけるぅ?」「いけたぁ?」の方が適切とのことでした(笑)
どうもありがとうございます。


Fさんが泊まって下さって、氷まくらを作って下さって、
夜中、すこし涙が出ました。



朝、

おかかさんが、鼻歌を歌いながら、
おかゆを作ってくださいました。
熱もだいぶ下がった感じがしました。


高熱で皆騒然となりましたが、改めて出来事を振り返ると、
横浜から大阪まで、はるばる飛行機でやって来て、
へもいっ子クラブのおかかさんの家で39度の熱が出て、
漢方薬を処方して頂いて、看病して頂いて、
初対面の人の家で座薬を入れて、落ち着いたという一連の出来事に
お互い、おかしくなってきて、笑ってしまいました
(僕はご迷惑をおかけして、笑ってる場合ではないのですが)。


おかかさんは、愛が溢れている方でした。
「愛が欲しかったら、愛を与えることですよ〜」
と、明るくおっしゃっていました。


僕は東寺へ導かれ、如来様・菩薩様・明王様を拝観し、
誤ったMMKというか、低俗なこと執着し、
モテようという無理を続けたこと、
それは地獄で、39.1度の業火で焼かれ、
おかかさんで、MMK計画はグランドフィナーレを迎えました。


たくさんの方にお会いできたことは、とてもありがたいことでした。
これからも、お会いしていきたいと思います。
しかし、モテは切り離して、エゴを捨てて、
受けた愛を、次に流していきたいと思いました。


今回の旅は、このことを知るためのものでした。
本当にありがとうございました。




(※文中の関西弁に誤りがありましたらご指摘ください。修正します)