断髪式。をプロデュース

気持ちが塞ぎこんでいるという友人、イガラシイッセイさん。
のびにのびて肩まできた天然パーマを、バッサリ切れば、
気分が晴れるのではと思ってはいるものの、
バッサリ切る気力すら起こらないとのこと。
じゃあ、日時と場所を決めるから、そこに来てください。


みんなでバッサリ切ってあげますから。


ということで、イッセイさんの断髪式をすることにしました。

気分が塞ぎこんで険しい表情のイッセイさん。



はじめに、

断髪式の日取りや開催場所を、
イベント開催支援ツール「ATND」で告知しました。

百人くらい集まって、順々に切っていこうと思ったのですが、
イッセイさんのネガティブオーラのためか、
Twitterなどで宣伝したのに、参加人数は奮わず、
十人となりました。



当日

八月六日、十五時。都内の公園。
イガラシイッセイ断髪式の本番です。

インタビューしました。
しーな「いま、どんな気持ちですか?」
イッセイ「ばっさりやってもらいたいです」
しーな「理想の髪型とか、こういうのはイヤだとかありますか?」
イッセイ「ないですね。みなさんの良心に任せます」
しーな「これから、みんなで切っていくわけですが、
    全員でゴールを共有して切っていかないと
    滅茶苦茶になってしまうと思いましたので、
    いくつかゴールの例を持ってきました」


しーな「で、iPadのルーレットアプリに、
    これらの髪形を入れてきましたので、
    イッセイさん回してください。
    それをゴールにしたいと思います」

しーな「これだけはイヤだってのはありますか?」
イッセイ「うーん、落ち武者はイヤですね……」

しーな「では、どうぞルーレットをお願いします!」

運命のルーレットスタート!!



ゴールとする髪型は、


「大五郎」


に決まりました。
イッセイさんには、そのことを明かさないで切っていきます。
大五郎とは、時代劇マンガ『子連れ狼』に登場する子どもの名前です。
どんな髪型かというと、

これです。前と耳の上と頭頂部だけに毛を残すスタイルです。



鮮やかな花を付けたハサミで切っていきます。


失礼します。



ユウコさん。

東雲さん。

とってもさん。

かげさん。

三ターン目ぐらいでこうなりました。

あっという間に、猫一匹分くらいの毛の塊が。



さあ、ここまでノーミス


問題はここからです。
切ってはいけない部分を誤って切ってしまうと、
取り返しのつかないことになるところまできました。
棒倒しゲームのような緊迫感。


とりあえず、大五郎の写真を見ると、
頭頂部の毛を赤いリボンのような紐で結んでいたので、
その部分を間違わないように、あらかじめ結いました。


これから島流しにあう人みたい。


どうやってハサミを入れていくか、シンキングタイム。


ここまでで一時間半が経過していて、
炎天下のなかでイッセイさんも、切る方も、
体力がどんどん削られてきていたので、
とりあえずラインを引いて、一気に切っていきましょう。
ということになりました。ジョキジョキジョキ。


なおさんがフリッパーズギター
「バスルームで髪を切る100の方法」をiPhoneで再生してくれて、
テンポよく散髪が進みます。バスルームじゃないけど。

そういえば、セレモニー風にしたいと思って買ってきてた
シャボン玉があったことを思い出して、吹いてもらう。

風船もあった。

突然のメルヘンタイム。



なんだかんだで、


こんなに短くなりました。
そして、後頭部を剃る工程に入りました。

しかし、ここで想定外のことが。
剃刀にすぐに毛がつまってしまって、うまく剃れない。
根気よく何度も刃を洗って、繰り返して剃りましたが、
一向にうまくいきませんでした。


太陽は徹底的に僕らを照らして、
全員の体力に限界が来たので、
イッセイさんにはわるいですが、
ここでストップすることにしました。

前から見ると、意外と正常に見えるのだけど、

後ろが心霊写真みたいな、不謹慎な状態に。
そして、僕らの技術では手の施しようがありませんでした。



これじゃあ、まずいだろう

ということで、僕はイッセイさんを理容室へ運び込み、
他のメンバーは近くの居酒屋で待機することに。

理容師の方は、一瞬、ギョッとしましたが、
こうなった理由を「ちょっと失敗しちゃいまして」と切り出して、
この部分を残して、きれいに剃ってもらえますでしょうか。
とお願いしました。





イッセイさんを残して、僕は先に戻りました。
そして、居酒屋で待つこと三十分。





で、
で、



出たーー!!!









エグザイルみたい。いや、そうでもないか。


そして、
イッセイさんに、


笑顔が戻りました。





こういう髪型の人と写真撮るのはドキドキしました。


理容室でかかった費用は、
今日の参加者の方から三百円ずつ頂いて、
イッセイさんに渡しました。



店を出たところ。

屈託のない明るい笑顔が、そこにあった。

その笑顔の持ち主の名は、イガラシイッセイ。
ご利益がありそうな頭に人が群がる。

彼のTシャツには「Follow me!」とある。
きっと皆がフォローしてくれるだろう。

やりきった……。




はっきり言って、こんなに笑ったのは久しぶりでした。
そして、イッセイさんがこんなに笑ってたのも、
久しぶりに見たように思いました。
この髪型がイッセイさんの今後の生活に、
どのような影響を及ぼすのかはわからない。
しかし、今日の参加者たちは、皆、口をそろえて言う。


「そんな、ひどくないよ」


と。よくわからないが、
前のむさくるしい状態よりは、ずっとよくなった。
そして、今のは、そんなひどくない。
ポジティブなエネルギーに満たされた今回の断髪式は、
大成功だったと思う。


ありがとう、イッセイさん。
ありがとう、参加者の皆さん。




おまけ


イッセイさんの壁紙を作りました。
よろしかったら、どうぞ。


issei_kabegami.jpg 直
サイズ:1296x864(1.1MB)