イッセイ氏と飲んだあとに食べた、
〆のラーメンのインパクトが胃に残ったまま、
翌日は長いこと横になってよく休んだ。
なれないことをするもんじゃない。
外は雨が降っていたかは忘れたけど、
ずっとしとしとしていた気がする。
小説を読んで、ジムで運動をして、
喫茶店でブレンドコーヒーを飲んで、
ぼーっとしていた。二日連続で同じ喫茶店。
これといった特徴のない店で、中学の頃から、
前を通っていたけど入ったことはなかった。
店のおばちゃん、どこかで見た気がする。
苗字を聞いたら同級生を思い出すかもしれないけど、
そんなことはできない。
名古屋の伯父さんから飛騨牛の肉が送られてきた。
見るからに高級そう。翌日、焼いて食べた。
やわらかくて、すごくうまかったけど、
胃がもたれた。なれないことをするもんじゃない。
金曜日
すごい、と噂の整体へ行った。
会社の同僚の方から教えてもらった。
二ヶ月治らなかった寝違いが一発で治ったらしい。
ぼくは肩甲骨のあたりがずっと重い感じがしていたのと、
その整体がやっているという頭蓋仙骨療法というのに、
興味を持って行ったのだった。いつも予約でいっぱいの、
クチコミで広まっていった人気のあるところ。
白髪の小柄な先生が、てきぱきとぼくの体を上から下まで、
かるく叩いたり、持ち上げたり、力を加えたり、
横にしたり仰向けにしたりして検査してくれた。
結果、左の脚が外側に開く力が、右とくらべて弱いらしい。
たしかに、靴底の減り方とか、座ったときの足の位置とか、
思い当たることが結構ある。その力を出すための、
腰の横の筋肉が弱いので、骨盤、背骨、首にかけて、
バランスが崩れて不調になっているということだった。
そして、頭蓋仙骨療法というのは、頭蓋骨と仙骨を結ぶ、
硬い膜があるそうなのだけど、その膜内の液の圧力を、
頭とかを動かすことで、バランスを取り戻す術で、
どんなことをするのかと思っていたのだけど、
かるく頭を支え持ったりするだけだった。
痛みとかはまったくないし、手応えもない。
あらかじめ本まで読んで予習していったのだけど、
まさに本にある通りだった。
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という、ちょっと頼りないコメントをいただいて、
信じて待つことにした。いま二日経った。
よくなってきた気がしていないような、
しているような気がしないでもないような気がしている。
昼前に家に帰れそうだったのだけど、なんかもったいないので、
横須賀線を戸塚で降りずに、そのまま鎌倉まで行った。
あじさいを見てやろうと思ったのだ。けど、すごい人。
鎌倉はこの時期がもっとも混みます、
とあるサイトにあったけど、ほんとに混んでいた。
ぼくの親と同じくらいからそれ以上の人々と、
小学生が遠足で押し寄せていて、超うるさい。
江ノ電に乗り換えて長谷で降り、長谷寺の前まで行ったけど、
行列ができていて、疲れて中には入らなかった。
人のいないところを選んで歩くうちに由比ヶ浜に出て、
海をしばらく眺めてから、成就院へ行った。
ここも混んでいたけど、長谷寺ほどではなく、
あじさいのある道をぐるりと回って、拝んで出た。
いったん家に帰って、小説の続きを書いた。
次の文学フリマのためにまた書き始めたのだ。
昨日からのと合わせて三十枚までいった。
それから五反田のビストロへ行って、ワインを飲んで歓談。
スピリチュアルなことや、読んでいる小説について、
さまざまに心置きなく話して、ちょっと飲みすぎた。
土曜日
昼過ぎまでかけて、
『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』
を読み終えた。おもしろかった。
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そういうトラウマみたいなものによる影響とか、
心と体のつながりとか、今年になってから、
ぼくが経験して感じたり考えたりしていたことが、
ぴったり総集されていると思ったくらい響いたのだった。
たとえば、さっきの頭蓋仙骨療法の本の中に、
エネルギーシストという概念があって、
これは、怪我みたいな外傷に限らず、
精神的な外傷(トラウマ)が体内に残るというもので、
その残ったエネルギーのことを指すのだけど、
これが解放されないかぎり肉体に影響が出続けるらしい。
小池龍之介さんの坐禅の本や、身体心理学の本にもあったけど、
どうやらそういうしこりは体に記憶として定着するみたいで、
最初はほんとかなと思っていたのだけど、
今はそう思うし、多崎つくるを読んで、
まさにこういうことだと思ったのだった。
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いまのぼくには、すごいしっくりくる内容だった。
で、考えごとをしながらジムへ行って、
考えながら筋トレして、走って、シャワー浴びて出て、
散歩して、気づいたら電車で横浜駅まで出てきてて、
そこから新高島までなんとなく歩いて、
コーヒーを飲んでサンドイッチを食べるという、
村上春樹の小説の主人公みたいな時間の過ごし方になって、
まずいと思って、桜木町までまた歩いて電車で帰ってきた。
九連休だったのだけど、残りあと一日。
梅雨の湿度と気温でパッとせず、体がだるく、
せっかくの休日を無駄にしているような気がしてたけど、
小説をひとつ読み終えたことと、あらためて振り返ると、
いろいろして、考えて、わりとよい休日だった。
巡礼の年じゃないけど、今年はぼくにとって重要な年で、
それが半分まで来たところで、いろいろ整理できたと思う。
体や神経を緊張させていた重りのような、幼少期からの、
呪いのようなもの(たぶん体に刻まれていた傷)にも、
なんとなく気づけるようになったし、
それから少しずつ解放されて、自由に向かってる気がする。
そうしてはじめて、きちんと生きることができるんだろうな。