7月15日(水)
1978年に刊行された『時刻表2万キロ』をざっと読んだ。
図書館で借りた。おもしろかった。なぜ読んだかというと、
NHKで「にっぽんの廃線100」という番組を見ていたら、
社長が「昔、『いい旅チャレンジ20,000km』っていうのがあった」というので、
調べたら、そういうキャンペーンが1980年から10年間行われていたらしい。
で、この本がヒットしたのがそのきっかけだったそうだ(Wikipediaによると)。
- 作者:宮脇俊三
- 発売日: 2015/01/30
- メディア: Kindle版
愛読書が時刻表で、時刻表を眺めて旅する気分に浸ることを
「時刻表に乗る」と表現する鉄道ファンの著者は、
中央公論社の役員だった宮脇俊三さん。
この紀行文(?)は国鉄全路線2万キロを完全乗車するまでの記録。
働きながらなので、週末に上野から寝台列車でまだ乗っていないところを目指す。
乗車前の待ち時間に同僚と飲んだり、乗りながら飲んだり、着いた先で飲んだり。
旅先の描写が淡々としていて気持ちよく、文章が40年以上前なのに、
いま読んでも普通に笑える。
まだ乗ってないエリアへ行くという切符の買い方をするから、
窓口で「お客さん、どこ行きたいの?」と聞かれる。
いまならこういう人がいても、お、YouTuberか? とか思われるぐらいだろうけど、
当時はどうだったんだろう。しみじみ笑える。
あと、これもよかった。これも図書館で借りた。
鈴木敏夫プロデューサーが対談とか座談をしているのだけど、
その相手が全部よくておもしろい。
朝井リョウ、池澤夏樹、中村文則、又吉直樹。
ところで先日読んだ『動画の世紀』で、
動画プロデューサー(動画クリエイターではない)のことがあって、
プロデューサーの重要性を強く感じた。
『ジブリの文学』の中での鈴木敏夫さんと又吉直樹さんの対談で
下のようなのがあって、なるほどなあと思いました。
監督はいいものをつくればいいわけでしょ。売るかどうかはプロデューサーですよ。それを一人でやったらよくないと、ぼくは思っているんですけどね。あなたはつくってください。ぼくは売りますからって。こういう関係ですね。
ぼくの中でプロデュース的なことをしたといえば、
友人のあまやんさんが、会社に行くのが憂鬱で
出社前に会社と反対方向の電車に乗って遊んだりしてから出社している
という話を湘南台の飲み屋で聞いたときで、
あまやんさんが「エクストリーム出社」と名付けたその活動を、
エクストリームスポーツ化してルールや用語を作ったり、
協会を作ったり、サイトを作ったり、メディア用の資料を作ったりして、
二人で活動していたとき。その一連の活動がそれっぽかった気がする。
ようするに、ある”もの”を売れるように仕掛けることなのですね。
エクストリーム出社で儲けることはできなかったけど、本は残った。
儲けたい~
サラリーマンは早朝旅行をしよう! 平日朝からとことん遊ぶ「エクストリーム出社」 (SB新書)
- 発売日: 2014/01/16
- メディア: 新書
7月16日(木)
明け方まで起きていたので、ゆっくりしようと思っていたら、
10時にニトリの家具配達が来て目が覚めた。その時間にぼくが設定したのだけど。
夕方に図書館へ行って、本を返却してまた借りる。
芥川賞を受賞した遠野遥さんの『破局』はもちろん貸出中で予約待ち。
たぶん1年ぐらいかかるのではと思う。デビュー作の『改良』はあったので借りる。
それから銀座の無印良品に行って、サコッシュと布マスクを買う。
そのあと、勝どきの銭湯でサウナに入ろうとしたが、コロナの影響でサウナが閉鎖中。
夜に新川の銭湯でサウナに入り、交代浴をしてすっきりする。
帰りに背もたれに突起のついたベンチがあって、
先日見つけたのだけど、これに座って背中をごりごりやると、効く。
背中の神経痛がしばらく治まったことがあったので、またやってみる。
サウナ後だと、とくによく効く気がする。
コロナがまた流行り始めているので、銭湯・サウナはしばらくやめておこうと思う。
7月17日(金)
『改良』を読み終えた。とてもおもしろかった。
美醜や性について強いこだわりをもつ二十歳の男の話。
女装をして女性らしく振る舞うことに専念するが、性的には女性を求める男性。
女装が原因で絶望的な展開になっても、書き方や描写でどこか笑える。
本人にとっての悲劇が客観的になると喜劇みたいな。
”いま”を反映していて心に残った。こういう作品がいいですね。
なんかよくわからないものが心に残って、
サウナとかでふいにあるシーンを思い出して、あ、ってなるような作品。
あと、笑いって大切だなと思った。