二月一二日にみた夢。

去年の末からの覚え書ノートを見返していたら
二月一二日にみた夢の内容が書いてあって、
僕は夢をメモしたりしないのですが、
かなり印象的だったみたいでメモしていたので、
その夢の内容を書きます。



二月一二日にみた夢

 僕には命が二つあって、そのことは僕だけが知っていた。
 そして、未来のことをなんとなく予知できる能力もあった。


 ある日、ハイジャックされるはずの飛行機に乗った。
 僕だけが乗った。他に数名が同乗する予定だったが、
「この飛行機はハイジャックされるので乗らない方がいいですよ」
 と言って、誰も乗せないようにしたのだった。
「ハイジャックされるのに、なんであなたは乗るの?」
 と聞かれたとき、
「僕には命が二つあるから」
 と答えた。そして、
「めずらしいことなのでブログに書こうと思います」
 と言ったのだった。


 飛行機の中は体育館のような広い空間になっていて、
 椅子も体を固定するベルトもなかったので、
 冷たい灰色の床の上にそのまま座った。
 両サイドの壁には大きなドアがあって、
 それらが全開になっていたので、
 飛行機が走りだすと風がびゅうびゅうと入り込んできた。
 

 離陸する直前に、栓が抜けたような大雨が突然落ちてきた。
 僕の周りは洪水のような雨水と強風、
 地震のような激しい揺れでとんでもないことになった。
 あっという間に壁際に体が押しやられたので、
 壁に溶接された鉄棒をしっかり全身で握って離さないようにした。
 重力が何転もして、体が重くなったり軽くなったりしていたら、
 ふいに辺りが静かになったので、しっかり閉じていた目を開くと、
 窓から真っ青な空が見えた。


 飛行機はそのまま宇宙を目指すような急角度で上昇し続けた。
 僕は青空を見ながら、心から満足して、
「ああ、幸せな命だったな」
 と思って意識を失った。


 僕は高層ビルのホテルの一室にいて、
 MacBookでブログの設定ページを眺めていた。
 部屋の外には青空しか見えなかった。
 飛行機の中の僕はどうなったのだろうと思ったら、
 PCにポップアップで、
「ブログ管理者に何かあったようです。生きてますか?OK、キャンセル」
 と表示された。そして、
「何も操作をしないと、コンピューターは1分で自動的にシステム終了します」
 59秒、58秒、……とカウントダウンが始まった。


 僕は「OK」をクリックしてディスプレイのアラートを
 すべて消してから腰を上げて、部屋の窓際に立った。
 外を眺めると空があって、その下には水没した都市があった。
 生きている人間は僕以外に誰もいないと思った。
 ポツンポツンと鉄塔の先や、高層ビルが
 水面から頭を出しているのが遠くに見えた。